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ミュシャ展、国立新美術館で開催
「ミュシャ展」が六本木・国立新美術館にて開催される。期間は2017年3月8日(水)から6月5日(月)まで。アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)の足跡を、パリで活躍した時代の作品から、故郷チェコで制作した晩年の傑作に至るまで、約100点の作品を通じて紹介する。
■ミュシャとは?
アルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。現在のチェコ共和国であるモラヴィアに生まれ、27歳でパリに渡る。若き頃、なかなか才能が認められない時期もあったが、ミュシャが34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけたことが転機となって、一躍成功をおさめた。そして、その優美な作風は次第に多くの人々を魅了するようになる。
どこか神秘的でありながら、美しい女性像、繊細な植物文様、エレガントな装飾パネルを発表していく。本の挿絵やポスターを制作して活躍したのち、44歳でアメリカに渡り肖像画などを手掛ける。
それでもミュシャが拘ったのは、ルーツである故郷のチェコ、そしてスラヴ民族のアイデンティティであろう。彼はそこに根差したテーマの作品を次々と発表していく。50歳で故郷チェコに戻り、《スラブ叙事詩》の制作に着手。晩年の17年間を捧げ、1928年プラハの見本市宮殿にて展示した。1939年、79歳でプラハにて死去した。
■スラブ叙事詩全20点が初めてチェコ以外の国で公開
目玉となるのは、およそ縦6m×横8mにもおよぶ巨大な油彩画全20点で構成される傑作《スラブ叙事詩》だ。50歳でチェコに戻ったミュシャが、故郷に対する強い想いに駆られ、後半生を賭けて制作した。古代から近代に至るスラブ民族の歴史が象徴的に描かれており、チェコの宝として今まで国外に出ることはなかった作品だ。全20作がチェコ国外で公開されるのは世界初となるため、注目が集まる。
■ミュシャ晩年の名作も紹介
晩年の名作に至るまでの作品もふんだんに紹介される。パリ時代の作品からは、花々に囲まれた美しい女性像を緻密なタッチで描いたポスターなどが出展。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家として一躍有名になったミュシャの仕事を見ることができる。
また、1900年に開催されたパリ万国博覧会で制作したパヴィリオンの装飾や、プラハ市民会館の天井画など、建築装飾に関する展示も。
■ミュシャが故郷を想って制作した作品たち
ミュシャが自身の故郷や民族を意識して制作した作品も必見だ。故郷も含めて、小国が独立を求める闘いの時代であった1900年代初頭において、ミュシャはチェコ国民の文化的な支えであり続けたのだろう。チェコスロヴァキア独立10周年記念ポスターを制作するなど、ミュシャは国民の民族自決の長年にわたる闘いに有終の美を飾っている。
■展覧会概要
ミュシャ展会期:2017年3月8日(水)~6月5日(月)休館日:毎週火曜日開館時間:10:00~18:00 ※毎週金曜日は20:00まで開館。(入場は閉館の30分前まで)会場:国立新美術館 企画展示室2E住所:東京都港区六本木7-22-2【問い合わせ】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
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