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「スマホで動画」10代で急増、どうするテレビ界
野村総合研究所によると2020年度には国内の動画配信市場は2000億円を超える規模になるという。しかし「youtuber」に代表される個人制作のコンテンツも増えており、市場が増えても生き残れなくなる人が出てくると予想されている。現在テレビ局は人気番組をネットに代表される他のプラットフォームに切り売りしている状態。果たして新しい消費者は掴めるのか、まだ不透明だ。[写真拡大]
2000年代に入ってから急速に普及したインターネットやスマートフォンは、われわれ生活者の環境を一変させた。それにともなって従来のサービスでは現代の消費者を満足させられないという需要と供給のミスマッチも発生している。特に顕著なのがメディア、とりわけ以前はテレビの独壇場だった動画コンテンツだ。スイッチ・メディア・ラボが実施したアンケートでは、「スマホ世代」と動画との付き合い方が浮かび上がってきた。
アンケートでは、オンライン動画(有料・無料とも)の視聴頻度をデバイス別に質問。その結果パソコン利用者の41%、スマホ利用者の30%が「週1日以上視聴している」と回答した。そのうち「ほぼ毎日視聴している」人もパソコンで19%、スマホで13%いた。しかし回答者を10代に絞ってみると男性10代で46%、女性10代で42%と高い割合で動画コンテンツに親しんでいることが分かった。パソコン利用者の視聴割合は、男性は世代が上がるごとに下がる傾向があるのに対し女性は40代以上の方が若い世代よりも視聴していた。しかしスマホになると、見事に年齢と視聴割合が反比例していることも分かった。
かつて動画といえばテレビの地上波放送だった。民放各局はネットの普及に対応するべく昨秋から放送中のドラマやバラエティ番組を放送直後から1週間程度ネット上にて無料で閲覧できるサービス「TVer(ティーバ)」を展開している。ネットを脅威とみていたテレビ界が無料で「見逃し配信サービス」を実施したことは画期的ですらあった。しかし今回のアンケートによるとこのサービスを認知している人は全体の60%。利用している人は16%にとどまっている。
各社はほかにも「○○オンデマンド」と名の付く月額1000円弱の定額配信サービスも行っている。さらにテレビ朝日はサイバーエージェントと組んでネットテレビ局「AbemaTV」をリリース、半年ほどで1000万ダウンロードを超えた。「若者はテレビ番組を見なくなったのではなく、テレビという受像機を使わなくなっただけだ」。ある民放関係者はTVer開設時、こう話してテレビの今後に思いをはせていた。「ネットかテレビか」ではなく、「ネットでテレビを」。メディアの垣根はスマホの普及によって取り払われつつある。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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