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「論文、ネットで無料公開」、EUが公的助成の研究に義務づけへ
さまざまな研究が進んでいる日本だが、オープンアクセス学術誌に掲載されている論文は100%英語となっている[写真拡大]
EUが、研究助成金を受けた学術研究論文のオープンアクセス(OA)の2020年までの義務化を目指している。インターネットで誰でも無料で閲覧できる状態にするもので、研究の裾野が広がり多くの経済波及効果もが生まれるとされている。背景には学術系出版社の寡占と学術誌の購読料やデータベース利用料の高騰があり、「課金の壁」を取り払うことで科学研究の底上げにつながることが期待されている。
世界の研究開発に対する支出は2兆米ドルにもなるといわれている。産学を合わせた研究支出は米国(5140億ドル)、中国(3970億ドル)、日本(1670億ドル)、ドイツ(1090億ドル)、韓国(770億ドル)、インド(720億ドル)など膨大な金額だ。しかし、コストをかけて書かれた論文の多くは一般の研究者やビジネスマンはアクセスすることができない。当然、研究成果が脚光を浴びる機会も少ないという現状がある。
一般的に研究者が論文を投稿すると著作権は出版社に譲渡される。そして論文の閲覧や引用には料金がかかるという非常に閉鎖的なシステムとなっているからだ。そしてその金額は1社で年間数千万円に上るなど高騰し、大学や研究機関が研究に充てるべき資金を購読料に割いてしまうという本末転倒な事態が発生している。さらに購読を控える動きも散見されるようになり、「教員や起業家が身近な分野の最新の研究成果を参考にしにくい」と問題視されていた。
そんな「知識ギャップ」をなくすため、EUではOAの議論がされてきた。公的資金を受けた研究論文をOA学術誌に掲載する場合、著者が掲載料を支払い購読は無料になるというのが代表的なパターンだ。一部の学術系出版社には根強い反対があるものの、「OAは不可避の流れ」というのが専門家の意見だ。既得権に長い間守られていた出版社も新たなビジネスモデルに対応せざるを得ないということだろう。
ひとつ影を落とすのが英国のEU離脱。議論を主導したオランダのサンダー・デッカー副教育・文化・科学相は、「世界最大規模の予算を持つEUの研究プログラムから英国が離脱することはEU・英国双方にとって大きな損失になる」と危惧する。一方で「英国が資金を拠出さえすれば離脱後も参加は可能」との見方も示している。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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