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タバコを長く吸う人ほど遺伝子変異、国立がん研究センターが調査
喫煙率の低下に比例して、肺がん患者も減っている。65~84歳の男性の肺がんによる死亡率は95~99年には10万人当たり302人だったが、00~07年には1割減った。成人男性全体の肺がんによる死亡率(年齢調整済み)も96年のピーク時に比べて13年には12%減少している。[写真拡大]
日本人の2人に1人が罹患(りかん)し、3人に1人が死亡するといわれているがん。決して高齢者だけの病気ではなく、種類によっては40代から患者が増えるものもある。そのうちの一つ、肺がんについて新たな調査結果が発表された。肺がんの原因の代表にタバコが君臨して久しいが、それを証明するデータが得られたのだ。
調査は国立がん研究センターや理化学研究所などの日米英韓の研究チームが世界約5200人のがん患者の遺伝子データを解析するかたちで行った。患者をタバコを吸う人と吸わない人に分け、それぞれで遺伝子に違いがあるかを解析。その結果、肺、喉頭、口腔、膀胱、肝臓、腎臓のがんは、喫煙者の方が遺伝子の突然変異が多かった。特に肺がんでは、毎日20本(1箱)を1年間吸うと150個の突然変異が蓄積すると推計された。さらに、肺、喉頭、肝臓のがんはたばこの化学物質が突然変異を直接起こしていることも判明。通常、遺伝子の突然変異は自然に修復されるため大量に蓄積することはない。しかし大量に突然変異を起こすとそれががん化する原因とされている。それがタバコの化学物質によって誘発されることが裏付けられたかたちだ。この結果を受けて研究チームは「禁煙ががん予防に重要だ」と改めて強調している。
2015年度の日本の紙巻たばこの販売数量は約1833億本。1996年から約5割減り、成人男性の喫煙率は3割、成人女性の現在の喫煙率は約1割となっている。成人男性の喫煙率は1966年には83%あったことから、急減していることが分かる。しかし禁煙は世界の流れ。1人当たり年間喫煙本数では日本は182カ国中21番目と、依然として喫煙大国であり続けている。WHOの推計によると、喫煙が日本経済に与えるコストは年間670億ドル(約6.9兆円)にも上るそうだ。
企業の中には全社的な取り組みとして「卒煙」に取り組んでいるところもある。禁煙外来を使って禁煙に成功した従業員に数千円から1万円ほどの補助を出すという「禁煙外来利用補助」が代表例だ。喫煙が発がんにつながるという新たなデータが得られた今、会社で、家庭で、健康について考え直してみるべきなのかもしれない。 (編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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