【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆日本では年度下期入り、世界的には10-12月の四半期ラリー◆

2016年10月9日 16:14

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記事提供元:フィスコ


*16:14JST 【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆日本では年度下期入り、世界的には10-12月の四半期ラリー◆


〇市場活性化の動きを探る〇

まだ2日間で、方向性が出てきた訳ではないが、市場が活性化する気配が出ている。現時点で考えられる背景を羅列して見た。

(1)運用機関の攻勢

日本では年度下期入り、世界的には10-12月の四半期ラリーとなる。上期ないしは1-9月期の運用成績は不振だったと見られ、運用機関がパフォーマンス向上へ、攻勢を掛ける可能性がある。国内ではアジア一位の運用残高の「アセットマネジメントOne」(みずほFGと第一生命系列の運用会社統合、運用残高51.5兆円、アジア1位だが世界では30位)が発足。米資産運用会社ジャナス・キャピタルと英ヘンダーソン・グループが合併(運用資産約3200億ドル、第一生命がジャナス株を保有し、統合後も15%程度の保有を目指すと伝えられる)、損保ジャパンが米エンデュランスを買収など、運用体制強化のM&Aも目立つ。


(2)「米12月利上げ」前提のポジション構築

週末の雇用統計次第ででどうなるか分からないが、ジワリとドル高、米金利上昇の気配がある。弱い世界経済、弱い米経済がある程度織り込まれ、「利上げ」できる環境を見直す動きとなる可能性(米国債利回りは2週間ぶり高水準、1.6%割れ場面があった10年債は1.6899%)。


(3)英ポンドが31年ぶり安値と喧伝されたが、一時の2%安から0.8%安に切り返す動きを見せた。同様に、ユーロは「ECBが資産購入縮小を計画」とのブルームバーグの飛ばし記事が出て2週間ぶり安値から切り返し、0.1%安(NY市場)。表面上売り圧力を掛けながら、英ポンド、ユーロのショートポジションの巻き戻しに動いている可能性(円ロングも外され、円安に振れる可能性)がある。


(4)18年間税金を払っていないと非難されたトランプ氏に、今度はNY州が届出義務違反としてトランプ財団に資金集め停止命令を出した。トランプ批判攻勢が加速している印象があり、米大統領選に見切り発車ととなる可能性。市場はクリントン氏の政策を望んでいる分けではないが、少なくとも現状破壊的なトランプ政権となるリスクが遠ざかっている。


(5)4日、東南アジア株が全面高、ジャカルタは1年半ぶりの高値となった。普段ウォッチしている分けではないので、明確ではないが、インドの予想外の利下げが好感されたと思われる。シンガポール・ドルが2週間ぶり安値となるなど通貨安が押し上げた(全般に利下げ余地があるとの解釈か)。中国が国慶節休みで経済ニュースも乏しい、「鬼の居ぬ間」ではあるが、東南アジア経済に上向き期待が出れば、日本企業にも追い風となる(ただし、同様に0.54%高のマニラ市場には大統領の不規則発言が影響する恐れがある)。


(6)米エネルギー調査会社PIRAは、「OPECは原油価格50-60ドル/バレルの水準を持続的に安定させることを目指している」との見解を表明した。このなかで、米シェール業者のコストが上昇していると指摘、原油高がシェール急復活を招くとの見方を否定した。また、北半球が冬場を迎え、需要が増えると同時に、シェール生産回復に時間が掛かるとの見方。4日の終値はWTI48.69ドル、北海ブレント50.87ドル/ともにバレル当たり。ディス・インフレ懸念を抑える格好となった。


日経平均は16000~17500円ゾーンの上限突破の可能性を探る展開との想定を継続する。


以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/10/05号)《TM》

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