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年々増加する糖尿病患者。本当に怖いのは……?
厚生労働省が昨年3年ぶりに実施した平成26年「患者調査」によると、日本人の糖尿病総患者数は316万6000人。前回調査に比べて46万人以上増加している。
性別では、男性176万8000人、女性140万1000人。前回の調査に比べて男性で約30万人、女性で約20万人の増加となった。また、糖尿病関連の治療にかかる年間医療費は約1兆2076億円。糖尿病による合併症などが主な原因と思われる年間死亡者数は1万3669人だった。
糖尿病はそれ自体が死に至るようなことはほとんどない。それよりも、糖尿病が引き起こすさまざまな合併症が身体を少しずつ蝕(むしば)んでいくことが怖いのだ。例えば、成人の失明原因の第2位は糖尿病にが原因で発症する網膜の病気である。また、糖尿病患者が脳卒中を発症する危険性は糖尿病でない人の3倍、心筋梗塞・狭心症の危険は糖尿病でない人の3~4倍。そして、血液透析が必要になる原因の第1位が、糖尿病が原因の腎臓の病気だという。
糖尿病の予防と改善は、食事療法と運動療法が一般的。そしてインスリン注射などの投薬治療が行われる。とくに食事は重要で、糖質が少ないバランスの良い食事がすすめられるが、その他にも、グルコースの代謝を改善するアーモンドやインスリンの反応を改善するダークチョコレート、Ⅱ型糖尿病の発症を抑えるといわれるコーヒー、グルコースの代謝を改善し得るリンゴ酢など、様々な食材が注目されている。蜂蜜も砂糖の代わりになるだけでなく、ブドウ糖と果糖が主なので、ショ糖に比べ、血糖値がさほど上がらないことが分かっている。
また、最近注目されているのがミツバチ由来のプロポリスだ。山田養蜂場の研究助成制度を活用した、京都府立医科 大学大学院・丸中良典教授の臨床研究によると、とくにブラジル産プロポリスに、2型糖尿病がもたらす重篤な合併症のひとつ「腎症の進行予防」に効果があることがわかった。
同研究では、35~80歳の2型糖尿病患者80名 に対し、試験方法と被験者を 2グループ(プロポリス飲用とプロポリス非飲用)に分け、食事療法や療法と併せて試験食を8週間飲用させた。すると、プロポリスを飲用した患者は、引用しなかった患者と比べて、8週間後の(1)腎臓の老廃物ろ過能力の減少が抑えられること、(2)腎臓の機能低下により起こる尿酸値の上昇が抑制されることを確認したという。しかも、他の食品で同じような研究結果と比べて、2か月という短期間で研究成果を得ているということも、特筆すべき点だ。
様々な副作用のリスクが伴う医薬品よりも、副作用の少ない食品で糖尿病に関連する症状が改善できれば、それほど有難いことはない。ただし、その食品がいくら良いといっても食べ過ぎは禁物だし、取り入れようと思う場合には一度、医師に相談するようにしてほしい。(編集担当:石井絢子)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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