イギリスのEU離脱で日本企業は欧州撤退を含めた対応も―帝国データバンク

2016年6月24日 18:36

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 帝国データバンクは24日、今月時点でイギリスに進出していることが判明した日本企業を抽出し、集計・分析を行った。イギリス進出企業を対象とした調査は今回が初めてという。

 同社では「イギリスは『EUからの離脱(Brexit)』を選択した。『リーマン・ショック級』とも言われるBrexitの影響は欧州にとどまらず、日本においても『円高・株安』として表れることが見込まれ、イギリスに進出する日本企業においても大きな影響をもたらすことが懸念される」としている。

 同社によると、イギリスに進出している日本企業は、6月時点で1,380社。業種別に見ると、最も多かったのは「製造業」の558社で、構成比40.4%を占めた。以下「卸売業」の258社(構成比18.7%)、「サービス業」の234社(同17.0%)、「金融・保険業」の159社(同11.5%)と続いた。年商規模別に見ると、最も多かったのは「100億円以上1,000億円未満」の407社(構成比29.5%)で、「1,000億円以上」(314社、同22.8%)とともに、大企業の進出がより鮮明であることが判明した

 さらに業種細分類別に見ると、持ち株会社を含む「投資業」(73社、構成比5.3%)がトップ。以下、「電気機械器具卸売業」(35社、同2.5%)、「受託開発ソフトウェア業」(29社、同2.1%)、「医薬品製剤製造業」(28社、同2.0%)が続いた。「投資業」には大手金融グループや証券会社グループのほか、各業種の持ち株会社が多く見られた。このほかにも、銀行や生損保会社などの「金融・保険業」は159 社だった。
 
 同社では、日本企業は金融業などイギリスの産業的優位性を背景に進出したり、欧州進出への足掛かりとしたりしている社が大企業の進出を中心に多いとして、「イギリスは、EU諸国との輸出入関税の見直しのほか、低コストでEU域内に自由な金融サービスを提供できる『パスポート』制度の枠組みから外れ、イギリスに拠点を置く金融機関はその権利を失うことになる。イギリスへ進出している日本企業の多くは、同国を欧州進出の拠点としているほか、『パスポート』制度による恩恵を受けるための金融拠点として位置付けているため、他のEU加盟国への拠点移転や資本の引き揚げ、欧州撤退も含めた対応を迫られる恐れがある」とイギリスのEU離脱の影響の大きさを話している。

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