大日本印刷など、視覚障害者が独力で本を探し・読める電子図書館システムを開発

2016年5月16日 13:20

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大日本印刷、図書館流通センター、日本ユニシス、ボイジャーの4社が提供している従来の電子図書館サイト(左)と、今回、視覚障害者向けに開発した電子図書館用テキストサイト(右)(大日本印刷の発表資料より)

大日本印刷、図書館流通センター、日本ユニシス、ボイジャーの4社が提供している従来の電子図書館サイト(左)と、今回、視覚障害者向けに開発した電子図書館用テキストサイト(右)(大日本印刷の発表資料より)[写真拡大]

  • 大日本印刷、図書館流通センター、日本ユニシス、ボイジャーの4社が開発した電子図書館システムの読書用ビューワの画面イメージ。(大日本印刷の発表資料より)

 大日本印刷、図書館流通センター、日本ユニシス、ボイジャーの4社は16日、視覚障害者が独力で本を探したり、読む(聞く)ことのできる電子図書館システムを開発したと発表した。

 4社によると、今回の新システムでは、三田市社会福祉協議会(兵庫県三田市)と「公共図書館で働く視覚障害職員の会」の協力を得て、視覚障害者が独力で本を探したり読んだりするのに必要な機能や課題をまとめ、4社が現在提供している電子図書館サービス「TRC-DL」の機能を拡張する形で開発した。

 「TRC-DL」は視覚障害者の多くが利用するパソコンやスマートフォンの画面読み上げソフト「スクリーンリーダー」に適合していないことが課題となっていたが、今回の新システムでは、「スクリーンリーダー」が利用できる検索画面(テキストサイト)を新たに開発した。

 また、利便性を高めるための機能として、読書用ビューワにタイトルと著者名の表示と読み上げ、自動音声での読み上げによる再生・停止・ページ送り・ページ戻しなどの機能を追加した。

 4月から三田市立図書館でシステムの検証実験を行い、夏季にサービスを開始する予定という。また、5月18日~20日に東京ビッグサイトで開催される第7回教育ITソリューションEXPOの図書館流通センターブースに参考出品する。

 厚生労働省の「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」によると、2011年12月1日現在で、視覚障害者(身体障害者手帳所持者)は全国で推計31万6,000人。人の手による録音図書や点字図書は作成に時間がかかるのに対して、今回のような電子図書館システムが普及すれば、視覚障害者も他の利用者と同じタイミングで、自力で本を選んで読むことができるようになる。

 4社は今後、電子図書館サービスを利用する生活者や図書館からの要望を取り入れ、機能を拡充しながら、3年間で200図書館以上への導入を行い、30億円の売上を目指すとしている。

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