東大の研究者ら、異なる原子の光格子時計を高速に比較する手法を開発

2016年3月10日 11:37

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記事提供元:スラド

 東京大学の研究者らが、原子時計の一種である光格子時計について、異なる原子を用いた複数の光格子時計の周波数比を高速かつ高精度で測定することに成功したと発表した。

 光格子時計は、レーザー光で作られた光格子中に原子を閉じ込め、その原子の振動数を測定することで時間を測るというもの(東京大学による光格子時計の説明記事)。ストロンチウムを使った光格子時計では430兆Hzという非常に高い振動数を検出できるという。

 光格子時計は理論的には非常に高精度に時間を測定できるとされているが、それを実際に確認するには異なる時計を用いてそれぞれの周波数比を測定し、それが常に一定であることを示す必要がある。今回の研究ではイッテルビウム原子を使った光格子時計と、ストロンチウム原子を使った光格子時計でその周波数比を測定した。その結果、周波数比は1.207507039343337749±5.5×10-17となり、不確かさは4.6×10-17となったという。これは、現在最も正確なセシウム原子時計の10-16を上回るもので、世界最高の精度だという。

 さらに、新たな計測手法を導入することで測定時間も大幅に高速できたという。

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