関連記事
トヨタとヤンマー「マリン事業分野で技術開発、生産など幅広く協業」
「TOYOTA 28 CONCEPT」、ヤンマーと協働で開発に成功した「FRP・カーボン・アルミ」3種複合素材による次世代ハルを採用し、新感覚の走りと乗り心地を実現したという。10月に市販バージョンが登場する[写真拡大]
トヨタとヤンマーは3月1日、パシフィコ横浜において開催された日本最大のマリン展示会である「ジャパンインターナショナルボートショー2016」(2016年3月3日〜6日)のトヨタブースで、トヨタ専務役員・友山茂樹氏とヤンマー専務取締役・苅田広氏が記者会見し、「マリン事業分野において、技術開発、生産、部品の相互利用などの幅広い分野で、両社が協業を進めることに合意した」と発表した。プレジャーボートの国内シェア3位トヨタと2位のヤンマーが手を結ぶということ。国内市場が縮小傾向のなか、新型艇開発や生産技術など幅広い分野で協働して、競争力の強化をはかる。
トヨタは現在、アルミ製の船体(ハル)と同社の自動車エンジンを採用した、プレジャーボートを製造・販売しており、卓越した走破性や静粛性を特徴に高い実績を上げている。
一方、ヤンマーは、産業用ディーゼルエンジンを事業の柱とした総合産業機器メーカーとして、そのノウハウを生かした船舶用エンジン、FRP製ハルのフィッシングボートや業務用船舶を製造している。
トヨタが採用しているアルミ製ハルは剛性感に優れるが、一方で、熟練した加工技術を必要とし、生産量に限りがあるなどの課題が多い。そのためトヨタは、2年前からアルミ製ハルと同等以上の剛性が得られ、生産性が高い「FRP・カーボン・アルミ」の3種複合素材による次世代ハルの開発を進めてきた。
その過程で、ヤンマーが持っている高度なFRP成型技術に着目し、昨年から、次世代ハルの生産技術開発を共同で進めた。そして今回、アルミハルと同等の剛性に加え、軽量かつ複雑な曲面形状にも対応できる「トヨタ・ハイブリッドハル」の量産化技術に目途を付けた。
同時に、このハルを採用した試験艇「TOYOTA-28 CONCEPT」を完成させ、今回の「ジャパンインターナショナルボートショー2016」で初公開した。この試験艇で、従来の同クラスのプレジャーボートを大幅に凌ぐ、走破性、旋回性能を確認しているという。
トヨタでは、同試験艇の商品化も並行して進めており、ヤンマーにトヨタ・ハイブリットハル製造技術供与に加え、舟艇の製造も委託する予定。新商品の製造は、大分県にある大分ヤンマー造船所で行なう予定。今年10月の発売開始に向けて具体的な準備を進めている。
トヨタ専務役員・友山茂樹氏は、「エンジンを含めた主要部品の相互供給や商品開発、販売などでの協業も検討する。お互いの得意分野で補完し合い、相乗効果が期待できる」とした。
プレジャーボート業界は、2000年代以降、低迷が続く。日本マリン事業協会に発表によると、国内のプレジャーボートの保有隻数は2000年に約44万隻だったが、2014年は約26万隻にまで減少した。
トヨタは1997年に個人向けプレジャーボート事業に参入し、自動車エンジンを独自に改良した高性能エンジン搭載のクルーズ艇を販売してきた。これまでに累計800隻超の販売実績がある。(編集担当:吉田恒)
■関連記事
・ヤマハ発動機の新中期経営計画 成長戦略に1300億円を投資し2兆円企業を目指す
・ASEAN市場の拡大にともなって、期待が高まるタイ・パタヤのレジャー産業
・ヤマハ発、円安で輸入船高騰のなか、国産ボート市場が活況
・「日本ボート・オブ・ザ・イヤー」、トヨタ中型艇「PONAM31」が獲得
・マリンスポーツに回復の兆し 大人の趣味・フィッシングボートが好調
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク