日本の高級桃の美味しさを保ったまま輸出する流通システムを構築―岡山大・中野龍平氏ら

2016年1月4日 20:30

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(左)5℃設定コンテナで輸出した桃の状態、(中央)香港のFood Expoで実施した海上輸送果実の試食の様子、(右)香港での果実品質評価会の様子(岡山大学の発表資料より)

(左)5℃設定コンテナで輸出した桃の状態、(中央)香港のFood Expoで実施した海上輸送果実の試食の様子、(右)香港での果実品質評価会の様子(岡山大学の発表資料より)[写真拡大]

 岡山大学の中野龍平准教授・福田文夫准教授らの研究グループは、日本産白桃の品質を保ちながら海外に輸送する流通システムを構築した。

 東アジア地域では、中元節や中秋節の贈答に高級果物を利用する慣習があり、日本産桃の需要も高い。しかし、日本産桃、特に岡山の白桃は日持ちしづらく、長距離輸送は収穫直後の空輸に依存している上に、収穫期が短いために需要のある時期に安定供給できていなかった。

 今回の研究では、温度管理と低温障害について分析し、0℃付近で「おかやま夢白桃」の果実を保持した場合、2週間後に常温に移して追熟すると、低温障害が発生することなく美味しく熟すこと、また10℃付近で保持すると低温障害が発生することなくゆっくりと軟化が進み2週間程度で食べ頃に達することを見出した。

 そして、これらの知見を活用して、海上輸送や氷温貯蔵と空輸を組み合わせた輸出流通システムを構築し、2年間の実証実験を行った。実証実験では、8月半ば以降に収穫された多数の品種で、収穫直後に空輸した果実と比較して遜色ない状態で輸出することができるなどの成果が得られた。輸出したモモ果実は、香港Food Expoへ出展し、高い評価を得たという。

 今後は、本プロジェクトの流通システムの実用性を周知するため、農学部附属山陽圏フィールド科学センターで輸出に用いる晩生品種を栽培し、現地バイヤー協力の下、モモ輸出モデル事業を展開していく予定となっている。

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