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魚油を摂取すると、体脂肪の燃焼が促進されることを実証―京大・河田照雄氏ら
魚油摂取による体脂肪の消費促進機序の概念を示す図(京都大学の発表資料より)[写真拡大]
京都大学の河田照雄教授・後藤剛准教授らの研究グループは、魚に含まれる油(魚油:主成分はEPA、DHA)の摂取が脂肪燃焼細胞である「褐色脂肪細胞」の増加を促進し、体脂肪の減少や体温上昇をもたらすことを動物実験により証明した。
ヒトには、対象的な役割を担う2種類の脂肪組織、「白色脂肪組織(WAT)」と「褐色脂肪組織(BAT)」が存在する。WATは脂肪を貯めこむのに対して、BATは脂肪を分解し熱を産生することで体温を保持すると共に、全身のエネルギー調節に関わっている。
今回の研究では、食餌誘導性肥満マウスに、高脂肪食または魚油添加食10週間摂食させたところ、高脂肪食群に比べ、魚油添加食群では酸素消費量が増加し、体重増加と体脂肪蓄積が抑制されることがわかった。
また、褐色脂肪組織と白色脂肪組織でUCP1とβ3アドレナリン受容体の発現量が増加すること、魚油添加群において交感神経活動の指標となる尿中カテコールアミン分泌量のおだやかな増加が認められること、迷走神経遮断手術を行ったマウスでは魚油投与による脂肪組織のUCP1発現誘導が認められなくなることが明らかになった。
研究メンバーは「今回の魚油の健康機能性とそのメカニズムの解明は、油脂の健康特性の新たな一面を明らかにしました。今後は、健康な食生活に役立つ油脂やその他の食品成分について、特にメタボリックシンドロームの改善が深く関わる健康寿命の延伸への機能に着目して研究を発展させていく予定です」とコメントしている。
なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system」。
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