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12万人の来場者で賑わった、アジア最大規模の福祉機器総合展示会
アジア最大規模の福祉機器総合展示会「第42回 国際福祉機器展H.C.R.2015」が開催され、約12万人の来場者で賑わった。[写真拡大]
2015年10月7日~10月9日の3日間、アジア最大規模の福祉機器総合展示会「第42回 国際福祉機器展H.C.R.2015」が開催され、約12万人の来場者で賑わった。同展示会は、ハンドメイドの自助具から最先端技術を活用した福祉車両まで世界の福祉機器を一堂に集めた国際展示会で、今年は14か国1地域から522社(国内461社、海外61社)の出展があった。
超高齢化社会に突入した我が国においてはとくに、福祉機器産業は次代の成長分野として注目されている。いわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、高齢者人口が全国民の4分の1以上にあたる約3500万人に達すると推計されており、介護を必要とする人の数は増すばかりだ。そんな中、介護をする人の負担を軽減する福祉機器の開発や普及は、国家的急務ともいえる。しかし、福祉機器とひとくちに言っても、車いすや介護ベッド、歩行器などのオーソドックスなものから、介護ロボットや移乗リフトなどの大型機器、さらには中小メーカーが独自に開発したオリジナル器具まで多岐にわたる。そのため、福祉機器の今を知るためにも、こうした展示会は必要なのだ。
同じような福祉機器でも、開発メーカー各社の得意によって、その特長も多様だ。例えば、福祉機器の中でも注目度の高い歩行アシストの分野では、住友理工<5191>が着用者の歩行状態をセンサが検知して、足を上にあげる力を補助する歩行アシストスーツの一般試用を同展で初めて実施した。同製品は柔軟な構造で、衣服の下にも装着できる程、薄手かつ軽量化設計が特長で、日常生活で気軽に使える製品を目指している。同社は他にも、体圧検知センサ「SR ソフトビジョン」シリーズの新製品「全身版」や、開発中の「床ずれ防止用SRアクティブマットレス」などを出品していたが、とくに歩行アシストスーツの試用が人気を集めていたようだ。
また、本田技研工業<7267>も、ヒューマノイドロボットASIMOで培った歩行理論をもとに開発した「Honda歩行アシスト」を出店している。同製品は、「倒立振子モデル」に基づく効率的な歩行を サポートする歩行訓練機器で、歩行時の股関節の動きを左右のモーターに内蔵された角度センサで検知して、伸展による下肢の蹴り出しの誘導を行う。
さらに、フランスベッド<7840>のブースでは、名古屋工業大学教授の佐野明人氏のグループと今仙技術研究所が開発した、電源のいらない無動力歩行支援機ACSIVE「アクシブ」の試着体験なども行われ、注目を集めた。
安倍内閣が開催している産業競争力会議でも、重点的に検討すべき戦略市場の一つとして「健康・医療」が挙がっている。高齢化社会という言葉には、どうしてもネガティブなイメージがつきまとうが、逆にポジティブな見方をすれば、先進国を中心に広がる世界的な高齢化社会の渦中で、「高齢化」先進国の立場にある日本は大きなアドバンテージを持っているとも考えられる。世界から信頼され、高い評価を受けている日本の「ものづくり」の力による製品は海外諸国からも大いに期待されている。優れた福祉機器の開発は人の役にたつのはもちろん、今後の日本経済の発展にも大きく寄与することだろう。(編集担当:藤原伊織)
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