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加速する超高齢社会。拡充が望まれる「サ高住」
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2000年の国勢調査の時点では1億2700万人前後で推移していた日本の人口が、2020年には1億2410万人となり、2030年には1億1662万人、2050年には1億人、2060年にはついに9,000万人をも割り込むことが予想されている。また、その一方で高齢化が着々と進み、2025年には65歳以上の割合が約30%、2060年には約40%にまで拡大することが見込まれている。これがいわゆる、超高齢社会だ。
超高齢社会を迎えるにあたり、日本では、生活や医療など様々な面で様々な取り組みが行われているが、中でも高齢者向け住宅の拡充は、暮らしを支える基盤となるものだけに、社会的急務となっている。
高齢者向けの住宅といえば、有料老人ホームや老人福祉施設の他、最近では「サ高住」などと呼ばれる「サービス付き高齢者向け住宅」が注目されている。
国土交通省によると、サ高住とは「高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供する賃貸住宅」と定義されており、具体的には、床面積(原則25㎡以上)や、便所や洗面設備等の設置、バリアフリーであることなど、設備面での条件のほか、少なくとも安否確認・生活相談のサービスを提供することが登録基準だ。さらに契約に際しては、高齢者の居住の安定が図られた契約であること、前払家賃等の返還ルール及び保全措置が講じられていることなどが厳しく定められている。実際の運営は、都道府県単位で認可・登録された民間事業者などによって行われ、自立から要介護状態の高齢者まで幅広く受け入れている。
需要の拡大を背景に、住宅メーカーもサ高住に力を入れはじめた。大和ハウス工業<1925>では、新規サ高住を開設する場合、基準を満たせば補助金や税制面、融資において、優遇措置を受けることができる点などに着目し、サービス付き高齢者向け住宅事業として、オーナーへの呼びかけに積極的だ。
住宅メーカー自らがグループの総合力を使ってオーナー開発に乗り出すケースもある。パナホーム<1924>は先日、同社がオーナー開発と建物の設計・施工を請負い、同じパナソニックグループのパナソニック コムハートが運営するサ高住「エイジフリーハウス宝塚中山」を兵庫県宝塚市今里町に竣工した。「エイジフリーハウス宝塚中山」では、同じ建物内に地域密着型の介護保険サービスである小規模多機能型居宅介護事業所「エイジフリー小規模多機能ケア宝塚中山」を併設。介護が必要となった高齢者が、ケアプランに基づいた在宅介護サービスを、24時間365日・定額制で受けることが可能だという。同サ高住は11月1日にオープンする。
当然のことだが、年をとればとるほど家の中で過ごす時間が長くなる。それだけに快適な住まい環境は何よりも大切だ。しかし、介護人材不足同様、高齢者の数に対してサ高住などの施設が少ないのが現状だ。一刻も早い整備と充実が望まれる。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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