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積水ハウス中間決算過去最高 通期も3期連続の記録更新の見通しを上方修正
■通期過去最高の見通しをさらに上方修正
9月10日、積水ハウス<1928>が2016年1月期第2四半期(2~7月/中間期)決算を発表した。
前年同期比の業績は、売上高が2.4%増の9315億円、営業利益が14.0%増の817億円、経常利益が16.1%増の873億円、四半期純利益が23.4%増の520億円と2ケタ増益で、当初の計画を上回り、中間として過去最高を更新した。中間配当は前期比で2円増配して27円、期末予想配当27円とし、年間配当予想54円は据え置いている。
2016年1月期の通期業績見通しは、売上高が0.4%増の1兆9200億円、営業利益が9.1%増の1600億円、経常利益が6.8%増の1670億円、当期純利益が8.6%増の980億円。3月5日に発表した通期業績見通しと比べると売上高は100億円下方修正しているが、営業利益70億円、経常利益80億円、当期純利益50億円それぞれ上方修正した。3期連続で過去最高の利益を更新する見通し。1株当たりの当期純利益(EPS)も133.08円から140.04円に上方修正された。
■ゼロエネルギー住宅、3・4階建などの高付加値商品が好調
セグメント別の業績は、「二本柱」の戸建住宅事業は減収減益だったが、賃貸住宅事業は減収増益だった。
戸建住宅事業は前期の受注が低調だった影響を受けて売上高は前年同期比13.9%減の1960億円、営業利益は15.4%減の233億円だった。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の「グリーンファースト ゼロ」、多世帯同居のニーズに応える3・4階建て住宅、鉄骨戸建高級住宅「イズ・シリーズ」、木造住宅シャーウッドのオリジナル陶版外壁「ベルバーン」などの拡販に力を入れている。
賃貸住宅事業の売上高は3.4%減の1946億円、営業利益は6.0%増の239億円。相続税改正に伴う需要が特に都市部で旺盛で、増益が続いている。ニーズにフレキシブルに対応できる3・4階建て住宅の販売が順調で、高齢者に快適で豊かな住環境を提案する「プラチナ事業」も積極的に拡販した。
リフォーム事業の売上高は消費増税前の駆け込み需要の反動減の影響で2.4%減の685億円、営業利益は11.7%減の76億円。賃貸住宅「シャーメゾン」向けリフォーム提案や、大規模リフォームで住宅の価値を高める「リノベーション事業」を積極的に推進。リフォーム事業の統一新ブランド「Re:QUEST(リ・クエスト)」も立ち上げ、アマゾン「リフォームストア」を通じてネット販売にも初めて参入している。
不動産フィー事業は、売上高は4.9%増の2232億円、営業利益は19.0%増の142億円と好調。積和不動産各社による賃貸住宅「シャーメゾン」の一括借り上げ戸数、管理受託戸数は堅調な伸びをみせ、グループで連携して入居促進を行って、都市部を中心に入居率は高い水準を維持している。
分譲住宅事業は、売上高は26.0%増の737億円、営業利益は26.6%増の63億円と非常に好調。時がたつにつれて魅力が増し良質な社会ストックになるまちづくりを推進している。
マンション事業は、「グランドメゾン白金の杜ザ・タワー」など大型物件の引渡しで売上高は30.3%増の419億円、営業利益は43.0%増の36億円と非常に好調。京都市の「グランドメゾン京都御池通」など新規物件の販売が順調だった。
都市再開発事業は、売上高は132.8%増(2.3倍)の642億円、営業利益は190.6%増(2.9倍)の176億円と大きく伸びた。自社保有の「本町ガーデンシティ」(大阪市)の一部を積水ハウス・リート投資法人に売却して売却益を計上した他、グループ企業が保有する賃貸物件の入居率が堅調に推移した。
■堅調な受注と生産、施工などの改革で利益率改善が寄与
このように、各事業セグメントの利益率の改善が当初計画を上回って推移し、受注状況の堅調さや、都市再開発事業で物件の売却が順調に進んでいることなどから、通期の業績見通しは利益3項目全て上方修正された。
受注については、「二本柱」の戸建住宅事業が消費増税の影響を脱して復調し、賃貸住宅事業、リフォーム事業、不動産フィー事業、分譲住宅事業、マンション事業、都市再開発事業、国際事業の全てで前年同期の実績を上回っている。それは8~10月期(第3四半期)以後、増収要因となって効いてくる。
戸建住宅事業も、1棟あたり平均価格は3706万円で、前年同期比で141万円増加した。単価の上昇によって、利益に対する増収の効果は年々高まっている。さらに適正な工事採算の確保、ロボットの導入など生産効率改善によるコストダウンも精力的に進めており、これも利益の拡大に貢献している。それを裏付ける数字が売上高経常利益率で、2~7月期の実績9.37%は、前年同期の8.26%を1.11ポイント上回っている。
経営体質強化と堅調な受注推移から、中期経営計画最終の2016年度の売上高2兆200億円、純利益1030億円の計画も着実に進捗しているといえるだろう。(編集担当:寺尾淳)
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