いすゞ、15年ぶりに大型路線バスの新型を発売

2015年8月21日 11:18

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 進行する高齢化に対応するために、いすゞ自動車<7202>は18日に15年ぶりに全面改良した大型路線バス「エルガ」を発売したとの発表を行った。転倒事故を減少させるために優先席をすべて前向きに配置したほか、車椅子での乗降時間を短縮することのできる折り畳み式のスロープを取り付けるなど、高齢者や障がい者の負担を軽減する改良がなされている。2020年に開催される東京五輪に向けて都市交通網の整備が進むなか、全面改良した新型車の投入により買い替え需要を取り込みたい考えだ。

 いすゞ自動車は今回発売した大型車「エルガ」で、年間600台の販売を目指す。希望小売価格は2600~2700万円程度(東京地区)で、新しい外観デザインを採用しいたほか、燃料タンクの位置を変更し、前後のタイヤ間の長さを伸ばして段差のない低床部を拡大させ、広々とした室内空間を実現させた。それにより、路線バスで増加している高齢者などの転倒事故を減少させたい考えだ。

 また、「エルガ」では通路幅も広げて乗客が歩きやすくし、伝い歩きに使用できる棒を新設することで、安全性も向上。バスの出入り口には約5秒で設置できるスロープ板を用意し、車椅子の乗客が乗降しやすいようになっている。

 エンジンは軽量コンパクトな250馬力の4HK1-TCSディーゼルを搭載しており、高効率なターボ効果による燃費向上をはかっている。そして排出ガス後処理装置としてDPDと尿素SCRが採用されており、燃費性能の向上、そして環境にも配慮がなされている。

 現在、乗り合いバスの輸送人員は微減しているものの、20年に開催される東京五輪に向けて都市交通網の整備は進行しており、それにともない路線バスの需要も増加するのではないとみられている。しかしその一方で、各地域のバス会社では運転手不足が深刻な問題となっており、そうした点にも配慮して「エルガ」ではマニュアル車をなくし、自動変速機(AT)、自動クラッチマニュアル車の2種類のみとし、経験が浅い運転手でも運転しやすいようにした。(編集担当:滝川幸平)

■関連記事
大型観光バスの生産が追いつかない。大手が設備投資に踏み切れない理由は東京五輪
「ミドリムシ」はバイオ燃料の救世主となるか?
外資系ならではの柔軟さ、三菱ふそうとUDトラックスが新型トラックを共同開発
いすゞ、GMと小型商用車の共同開発で正式合意
復活本格クロカン四駆「ランクル70系」は予想以上の高受注。再販への声も好感度

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事