少ない子どもを大切に育てたい。少子化日本のこれからの住宅

2015年8月15日 19:06

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 厚生労働省が公表した「平成26年(2014年)の人口動態統計(概数)」によると、昨年の出生数は100万3532人で、前年から2万6284人の減少となった。少子化問題は日本の社会経済の根幹を揺るがしかねない重要課題として、政府も様々な少子化対策や、子ども子育て支援制度などを設けて、少子化解消に向けて積極的に取り組んでいるものの、残念ながら、その成果が現れているとは言い難いのが現状だ。ところが、商業的にみると、一人の子どもに掛けられるお金が増えたことで、塾や習い事などの教育関連や、ファッションなどの分野を中心に少子化ビジネスが盛況だという。

 また、「少ない子どもを大切に育てたい」という意識から、住宅購入の際に「子育て」を重視する人も増えているようだ。大手住宅メーカー各社も「子育て」を重要なキーワードにしており、それぞれに特色のある商品を発表している。

 家事や育児に対応する提案型住宅の最新の例としては、パナホーム<1924>がパナソニック<6752>との共同研究成果を反映した「KodoMotto(こどもっと)」を8月1日より同社の戸建て全商品に展開することを発表した。同社は、これまでにも、実際にパナホームに住む主婦に対するアンケートなどの調査結果を商品開発に反映し、家事がしやすくなるような間取りや動線、設備の研究をもとにした「家事楽(R)」や、ライフステージの変化に対応して間取りを変化させられる「先読み設計(R)」など、ユーザー目線を重視した独自のユニークな提案を行ってきた。今回、「KodoMotto」では、子どもの成長に応じた居場所を住まいの中につくることで子どもの自立心を育む「先読み設計」の提案をさらに進化させている。調査結果で興味深いのは、家庭内で子どもの滞在時間が最も多いのは子供部屋ではなく、リビング・ダイニングだという点だ。「KodoMotto」でも、この結果を反映して、リビング・ダイニングに隣接したスペースに可変性を持たせ、収納場所を設けるなど、子どもとのくらしをより楽しく幸せな時間にできるような提案を行っている。

 他にも、大和ハウス<1925>では、通信教育大手のベネッセ<9783>が展開する「たまひよ」とコラボレーションしたコンセプト住宅「子育て住宅ハッピーハグ」シリーズや、子育てママの目線を設計アイデアに活かした住友林業<1911>の「mamato」(ままと)、また旭化成<3407>では、子育て共感型賃貸住宅「母力」(ぼりき)を展開しており、キャンセル待ちが出るほどの人気を集めているという。

 各社それぞれに個性的な子育て住宅を展開しているが、最近の子育て住宅に共通していることは、子どもだけでなく、家族全員の幸せな居場所、とくにママの居心地を大切にしている点ではないだろうか。子どもは確かに大切だが、子どもが子どもでいてくれる時間は限られている。住宅は一時のものではない。子どもが成長、独立したあとも、ママやパパはそこで暮らしていくのだから、パナホームの「先読み設計(R)」のように、10年先、20年先を先読みして、将来も快適に過ごせることが何よりも大切なのではないだろうか。子どもだけを特別扱いするのではなく、家族みんなが快適に過ごせる住宅こそが、最高の子育て環境なのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

■関連記事
東京23区の新築戸建住宅「5000万円以上」が3割超え
14年度の全国住宅・マンション供給は35.2万戸 供給トップは大東建託
1~6月の住宅着工数、2年ぶりにプラス
相続税制の改正から半年。都市部での対策のポイントは?
景気は「緩やかに回復している」 雇用情勢も改善

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事