JAXA、世界最高水準の全世界標高データ(30m版)を無償公開

2015年5月19日 12:05

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JAXAが無償公開する標高データセットのイメージ例(写真:JAXA発表資料より)

JAXAが無償公開する標高データセットのイメージ例(写真:JAXA発表資料より)[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による観測画像を用いて整備した、全世界の陸地の起伏を水平方向30mの細かさで表現できる標高データセット(30mメッシュ版)を無償公開すると発表した。

 日本を含む東アジア、東南アジア域から公開が開始され、順次、全世界の陸地(緯度82度以内)に拡大される予定。

 今回公開されるデータセットは、全世界規模で整備される標高データセットとして、現時点で世界最高精度を持つ「全世界デジタル3D地形データ」の標高データセット(5mメッシュ版)をベースとして作成されており、30mメッシュ版としての高さ精度も世界最高の水準という。同データセットは、科学研究分野や教育、地理空間情報を活用した民間サービスなどでの利用が期待されている。

 「デジタル3D地形データ」とは、地表の3次元座標値(水平位置と高さ)が記録されたデータのことで、水平位置を示す正射投影画像と高さを示す数値標高データの2種類のデータで構成されている。正射投影画像とは、上空から撮影された画像の地形にともなうゆがみを除去し、正しい位置情報が付与された画像のこと。

 JAXAが整備するデジタル3D地形データの数値標高モデルは、「だいち」のPRISMが取得した画像のなかから雲が少ない約300万枚を活用して、世界で初めて5m解像度(正射投影画像は2.5m)という細かさと、5mの高さ精度で世界中の陸地の起伏を表現している。

 なお、これまで全世界規模で整備された同様の数値標高モデルには、米国が2000年にスペースシャトルを用いて観測したデータによる90mメッシュのもの(2003年に第一版公開,2014年から30mメッシュの公開を開始)と、米国と日本(経済産業省)が共同で2000年から観測した衛星画像による30mメッシュのもの(2009年に第一版公開)があり、広く利用されている。(記事:阪木朱玲・記事一覧を見る

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