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【建設業界の2015年3月期決算】国内は工事採算が改善し「利益なき繁忙」から脱却しても、海外には波乱要因があった
5月13日、建設業界大手4社の2015年3月期本決算が出揃った。国内では特に東京五輪が開かれる首都圏の建設工事が活発で、新幹線が開通した北陸も良かった。全社が増収だったが、海外工事で損失を計上した鹿島だけは受注高、利益がマイナスになった。工事採算は改善したところと悪化したところがあり、海外工事も明暗が分かれた。
2016年3月期の今期見通しは、海外工事の為替差益が減少しても国内のマンション建設がペースダウンしても、オフィスビルの建設や都市再開発事業は高水準で、国内工事の受注、売上は引き続き好調とみている。
■国内に限れば業績は増収増益で好調だった
2015年3月期の実績は、大成建設<1801>は売上高2.6%増、営業利益31.0%増、経常利益31.2%増、当期純利益19.0%増の増収増益。年間配当は前期比2円増の8円だった。受注高は1兆4298億円で前期比9.9%増。東京五輪が開かれる首都圏の再開発事業など建設需要の拡大が続き、受注価格も上昇している。受注競争の緩和による建築工事の採算改善と為替差益によって増益幅が拡大し20年ぶりの高水準の業績を残した。
大林組<1802>は売上高10.0%増、営業利益51.3%増、経常利益49.3%増、当期純利益32.7%増の増収、2ケタ増益。年間配当は前期比2円増の10円だった。連結の建設工事受注高は国内も海外も好調で13.7%増の1兆7974億円。建築事業の増収幅が大きく、しかも好採算の受注が増えている。受注時の利益率も完成工事総利益も伸びたのが大幅増益の主な要因だった。
清水建設<1803>は売上高4.7%増、営業利益92.0%増、経常利益92.1%増、当期純利益135.3%増の増収、大幅増益。最終利益は2期連続の3ケタ増。年間配当は前期比1円増の8円だった。建設事業の受注高は海外では0.9%減だったが、全体では7.1%増の1兆4213億円。3ケタ増益の理由は好調な受注に加え、工事採算の改善が進んでいる点にある。
鹿島<1812>は売上高11.3%増、営業利益44.9%減、経常利益20.9%減、当期純利益27.0%減の2ケタ増収、2ケタ減益。年間配当は前期と同じ5円だった。建設受注額は6.3%減の1兆4748億円。都心部のビルやマンションの売却増で増収になったが、国内工事では資材や労務費の高騰で工事採算が悪化し営業減益。アルジェリアの高速道路工事で未払代金の回収が進まず、損失を追加計上したのも響いた。取引先6社の株式を売却して190億円の特別利益を計上し、最終損益の黒字を確保している。
■受注高は減っても工事採算は悪くない見通し
2016年3月期の通期業績見通しは、大成建設<1801>は売上高1.1%増、営業利益3.4%減、経常利益16.7%減、当期純利益10.0%増の増収、最終増益を見込む。予想年間配当は前期と同じ8円。受注高予想は前期比12.5%減で、為替差益も前期ほどは見込めないと見積もっている。
大林組<1802>は売上高0.2%減、営業利益3.3%増、経常利益6.5%減、当期純利益4.5%増の減収、最終増益を見込む。予想年間配当は前期と同じ10円。受注高は微減の1兆7800億円を見込む。国内の建築事業で工事採算の改善が続いているので引き続き最終増益になる見通し。
清水建設<1803>は売上高2.1%増、営業利益25.9%増、経常利益13.8%増、当期純利益22.8%増の増収増益を見込む。予想年間配当は前期比2円増の10円。建設事業の受注高は9.9%減の1兆2800億円だが、堅調な公共事業でも、引き続き伸びが予想される民間設備投資でも、好採算の受注が見込めるとみている。
鹿島<1812>は売上高3.3%増、営業利益412.1%増、経常利益152.1%増、当期純利益25.8%増の増収増益を見込む。予想年間配当は前期比1円増の6円。建設事業受注高は5.1%減の1兆4000億円を見込むが、前期の一時的な減益要因が解消すれば営業利益、経常利益はV字回復して3ケタの大幅増益に転じるという業績予想である。
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