NEC、IoTで急増が懸念される通信量の負荷を押さえる新技術を開発

2015年4月30日 09:31

印刷

記事提供元:エコノミックニュース

 NEC<6701> は4月7日、「モノのインターネット化(IoT)」で急増が懸念されている通信量の負荷を押さえる新技術を開発したと発表した。

 近年、モバイルネットワークの急速な普及に伴い、自動車やスマートメーターなど様々なIoTデバイスをネットワークにつなげて、新しいビジネスや社会課題の解決に役立てることができる。交通、エネルギー、物流、医療・ヘルスケアなどの多様な分野でのIoT活用が期待されている。

 調査会社のIDC Japanが3月に発表した調査結果によると、2014年の国内IoT市場の売上額は9兆3645億円に達した。19年には16兆4221億円に達すると予測されている。

 だが、IoTの急増による通信量負荷の問題を乗り越えなければならない。現在のモバイルネットワークにおいては、端末の通信接続状態や位置を管理するための制御信号を、通信事業者のネットワークと携帯端末との間で頻繁にやりとりしている。このため、通信の開始・停止を定期的に繰り返すスマートメーターや、ネットワークのエリア間を継続的に高速移動する自動車など、人と異なる特有の動きをするIoTデバイスでは、モバイルネットワークで不要な制御信号が大量に発生する。さらに、IoTデバイスの増加に伴ってネットワークの負荷が増大するため、モバイルネットワークの信頼性低下が懸念されている。通信量の負荷軽減が重要な課題となっているのだ。

 NECでは、IoTデバイスの通信や移動の管理のために、従来一律に行っていた通信事業者のネットワークとIoTデバイスの間の制御信号の送受信を、IoTデバイスの通信間隔や移動速度などにあわせて行うことにより、制御信号数を従来の約1/10に削減することに成功した。この結果、ネットワークの負荷を抑えて信頼性の高いモバイルネットワークが可能になるという。

 この技術はモバイルネットワークの標準化団体3GPP(3rd Generation Partnership Project)の国際標準規格にも採用された。今回の新技術開発によって、IoT拡大に弾みがつきそうだ。(編集担当:久保田雄城)

■関連記事
スマートメーターにウェアラブル機器、新しい無線通信規格に取り組む企業
ハイアールアジア、埼玉県熊谷市に世界最大規模の研究開発拠点開設
何でも情報化「IoT時代」に向けてセキュリティが大きな課題に
電子部品「京都4社」は「スマホと自動車」好調で通期見通し上方修正ラッシュ
あらゆるモノをインターネットにつなぐ 東芝がIoT関連事業強化に向け組織再編へ

※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。

関連記事