関連記事
阪大、まばたきの頻度でニコチン依存症のなりやすさを推定できることを明らかに
ニコチン受容体に関係する遺伝子CHRNA4のrs1044396という部位のシトシン(C)がチミン(T)に置換しているグループ(47名)では、そうでないグループ(57名)と比べて、3割も瞬目率が上昇していた(写真:大阪大学の発表資料より)[写真拡大]
大阪大学の中野珠実准教授らによる研究グループは、瞬き(まばたき)の頻度の個人差が、ニコチン受容体の遺伝子タイプの違いで説明できることを明らかにした。
瞬きの頻度(瞬目率)は非常に個人差が大きく、1分間に数回しかしない人もいれば、40回を優に超える人もいる。神経伝達物質であるドパミンの摂取により、瞬目率が急激に増加することから、瞬目率の違いは脳内のドパミン機能のレベルを反映していると考えられてきたが、これまでドパミン受容体の遺伝子多型をいくら調べても、瞬目率の大きな個人差を説明することはできなかった。
今回の研究では、ドパミン神経の活動を調節しているニコチン受容体に着目し、その遺伝子多型と瞬目率の相関を104名の大学生を対象とした大規模調査により調べた。その結果、ニコチン受容体に関係する遺伝子CHRNA4のrs1044396という部位のシトシンがチミンに置換しているグループでは、そうでないグループと比べて、3割も瞬目率が上昇していることが分かった。
これによって、これまで通説だったドパミンと瞬目率の関係は実は二次的な相関であり、ニコチン受容体を介したアセチルコリン伝達系が瞬きの発生を制御していることが分かった。
ニコチン受容体の遺伝子多型は、喫煙によるニコチン依存症のなり易さと関連することが知られているため、今後は、瞬きの頻度からニコチン依存症のなり易さを推定するなど、瞬きを簡便なバイオマーカーとして利用できるようになると期待されている。
なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。
スポンサードリンク