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大手企業と中小企業とのコラボが活発化。進化する日本のビジネスモデル
ロームが開発した電池不要の無線通信機能付きセンサーを用いた生活見守りシステム。同社は新規事業の開拓も視野にいれ、試作品製造ノウハウなどを持った中小企業とのマッチング会を開催した。[写真拡大]
近ごろ、中小企業や大学などとのコラボレーションに関心を示す大手企業が増えている。もちろん、これまでにも様々な形でのパートナーシップや共同R&D(研究開発)は頻繁に行われてきた。しかし、ここ数年間の動きはより活発になっており、今年に入ってさらに加速しているようにも見える。中小企業との協働を重要戦略の一つに置いている企業も少なくない。
例えば、大手菓子製造業の森永製菓<2201>は、「食のチカラで世界に新たなイノベーションを!」というキーワードのもと、事業共創プログラム「Morinaga Accelerator」を展開しており、菓子や食に限定しない革新的なビジネスを共創するプランをコンテスト形式で募集している。また直近では、3月17日に半導体大手のローム<6963>も新分野の事業拡大を目的に、協業まで視野に入れた中小企業とのマッチング会を開催。20社以上の参加を集め、同社センサー技術の応用に必要な技術を募るなどの動きを見せている。
大手企業にとって中小企業やベンチャー企業とのコラボレーションは、コスト削減だけでなく、これまでの業務形態ではリーチできなかった市場も開拓できる可能性が広がる。また、他社との差別化を図ることも出来るうえ、場合によっては大きなアドバンテージにもなるだろう。中小企業にとっては大手のブランド力を利用できるのはもちろんのこと、大手のマーケティングや販路、専門知識など多くのノウハウを入手することの出来るまたとない機会で、ビジネスの成長を加速させることも期待できる。
前述のロームは、これまでにもセンサネットワークを使った介護システムなど、新分野への取り組みを展示会でも示している。。今回のビジネスマッチングでは「バッテリーレスのセンサネットワーク」「CIGSイメージセンサの医療分野への応用」「脈波センサーの応用」の3つのテーマについて、試作品の開発状況を紹介し、中小企業からの技術提案を募っているが、これが成功すれば、現在好調な自動車分野の他にこれからの成長市場と目される産業機器分野、医療分野への進出にも拍車がかかることだろう。
それにしても興味深いのは、ロームといえばこれまで材料の調達から製品化までを一貫して行う垂直統合型のビジネスモデルを軸に置いてきた企業だということだ。ロームだけでなく、国内の大手電子部品企業は同様に、垂直統合を競争力の原動力にしていた。しかし、ここ数年で、他企業との協働事業に乗り出す企業が増えている。専門分野に関しては、これまでの垂直統合型で問題ないだろうが、新天地を求めるのならば古い慣習や栄光にこだわらず、より良いパートナーやナビゲーターとともに進むことで、ビジネスを最大限に加速させることができるだろう。日本企業のビジネスモデルは今、大きな進化の時期を迎えているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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