富士通研究所、異なる撮影のCT画像間の腫瘍の高精度位置合わせ技術を開発

2015年2月12日 12:07

印刷

画像比較による腫瘍の経時変化の観察(富士通研究所の発表資料より)

画像比較による腫瘍の経時変化の観察(富士通研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • 自動位置合わせの基本的な考え方(富士通研究所の発表資料より)
  • 開発技術による腫瘍位置の位置合わせ(富士通研究所の発表資料より)

 富士通研究所は10日、異なる日時に撮影された同じ患者のCT画像に対して、高精度に腫瘍の位置合わせをする技術を開発したと発表した。

 CT画像では一般的に呼吸や心拍の影響で腫瘍の位置が変動する。従来、腫瘍の周辺にある血管などを手掛かりに位置を合わせる方法があったが、腫瘍の周辺に血管が少ない場合は位置合わせの精度が低下するという課題があった。

 今回、腫瘍の周辺に血管などの特徴点が少ない場合に、広範囲の特徴点を手掛かりにして、腫瘍の位置を自動で高精度に合わせる技術を開発した。この技術では、腫瘍周辺に特徴点が少ない場合に対応するため、従来に比べ広い範囲から特徴点を探す。しかし、腫瘍から遠く離れた特徴点におけるズレが、腫瘍位置におけるズレと必ずしも一致するとは限らない。そこで、腫瘍位置におけるズレと一致する傾向がなるべく高くなるように、腫瘍からの距離に応じて重みづけをして腫瘍位置のズレを算出する。

 また、特徴点を対応させる際に比較する特徴点数が増えることで処理量が増えるが、比較に用いる画像特徴量を簡素化することで処理を高速化している。これにより、複数枚の断面にわたる位置合わせを高速に行える。

 肺疾患症例の実験では、実用化の目安となる誤差2.5mm未満で位置合わせ可能な割合が、従来の33%から83%へ向上することを確認した。1件当たり数百枚の断面画像の中から、腫瘍が存在する可能性が高い約20枚の断面画像を対象に腫瘍の位置を合わせる場合、約1.5秒で処理可能である。

 富士通研究所は、様々な画像による実証実験を重ね、2015年度中に富士通製品への搭載を目指す方針だ。

関連記事