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東北大、親と過ごす時間が長い子供ほど言語理解が発達していることを明らかに
東北大学の竹内光准教授・川島隆太教授らによる研究グループは、小児の縦断追跡データを用いて、長時間親子で一緒に過ごすことが、言語的理解や非言語的コミュニケーションの理解などに関わる脳領域や言語理解機能に好影響を与えていることを明らかにした。
これまでの研究で、親による子供への言語的虐待や、親の虐待による心的外傷後ストレス障害などが子供の言語機能の低下と上側頭回の脳灰白質形態に影響を与えることが示されている。しかし、言語機能と関連する領域の発達に、健常な親子における相互作用がどのような影響を与えるのかは明らかになっていなかった。
今回の研究では、5歳から18歳の健康な小児を対象に、知能検査とMRI撮像を実施し、3年後に再び同じ内容で測定する実験を行った。その結果、初回参加時に長時間親子で過ごしていたことは、初回参加時の高い言語理解指数と関連し、初回参加時から数年後の2回目参加時のより一層の言語理解指数増大につながっていた。
また、親子で過ごした様々な内容別の頻度の解析から、親子で様々な内容の会話をより多く持っていることが、言語性理解指数などに関係を示すこともわかった。
これらの結果から、長時間親子で一緒に過ごし、特に会話を持つことで脳の言語機能に関わる領域が影響を受け、言語機能発達の増加と関連することが示唆された。また、こうした関連が小さい子供ほど影響を受けやすいという証拠は得られなかったため、就学期前だけでなく、それ以降の発達期でも親子で多くの時間を過ごし、会話を持つことが言語関連脳神経機能の良好な発達に重要であると示唆されたと考えられるという。
なお、この内容は2月4日に「The Journal of Neuroscience」に掲載された。
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