順天堂大、遺伝性パーキンソン病の原因遺伝子を新たに発見

2015年2月4日 12:25

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遺伝性パーキンソン病家系の遺伝子解析の結果を示す図(順天堂大学の発表資料より)

遺伝性パーキンソン病家系の遺伝子解析の結果を示す図(順天堂大学の発表資料より)[写真拡大]

 順天堂大学は4日、医学部脳神経内科の服部信孝教授、舩山学准教授らの研究グループが、原因不明の遺伝性パーキンソン病の原因のひとつとなる遺伝子を、世界で初めて発見したと発表した。パーキンソン病の発症メカニズム解明や根本的な治療法の開発、さらに、パーキンソン病の発症前診断や予防に繋がる可能性があるという。

 研究グループは、遺伝性パーキンソン病の1大家系からパーキンソン病患者8人と非発症者の5人の協力のもと、神経学的診察と血液よりDNAの採取を行った。8人の患者のうち4人について次世代シークエンスという最新の遺伝子解析法を使って遺伝子配列を詳しく調べた結果、「CHCHD2遺伝子」の182番目の塩基がシトシンからチミンに置換されている遺伝子変異を発見した。この遺伝子変異は8人のパーキンソン病患者全員にも共通していた。

 さらに、この家系とは別に日本人3家系のパーキンソン病患者からもCHCHD2の遺伝子変異が見つかった。これら患者家系の遺伝子解析によりCHCHD2遺伝子変異は、遺伝性パーキンソン病の原因であることが明らかになった。また、一般的な孤発型パーキンソン病患者と健常対象者のCHCHD2遺伝子配列を比べた結果、特定の遺伝子多型を持つ割合が患者で多いことがわかった。この遺伝子多型を持っていると持っていない人に比べて2.5~4.7倍、パーキンソン病を発症しやすいことが明らかになった。

 今回の発見により、パーキンソン病の遺伝型と孤発型にはミトコンドリアに関わる共通メカニズムが存在する可能性を明らかにした。今後、CHCHD2遺伝子に変異が入ることでミトコンドリア機能異常をはじめとする病的な状態が、どのように神経細胞死に繋がるかを、細胞モデルや動物モデル、パーキンソン病患者由来のiPS細胞などを使って詳しく調べる予定だという。

 パーキンソン病は50~60代に発症することが多く、手足の震えや動きづらさなどの症状が進行する原因不明の神経難病。患者は全国に14万人以上いるが、今までのところ根本治療法はない。中高年者に患者が多く、加齢が主な危険因子であることから、超高齢社会を迎えた我が国では患者数は増加の一途を辿ることが予想されている。

 なかでも、全患者の5~10%は親から子へ病気が遺伝する遺伝性パーキンソン病で、その原因解明が新規治療の開発に直結すると考えられている。孤発型と遺伝性疾患には共通点があり、遺伝性疾患の原因究明は、患者の大多数を占める孤発型パーキンソン病の原因解明と治療への応用が期待できるという。(記事:町田光・記事一覧を見る

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