理研、慢性肝炎や肝硬変が、肝内胆管がん発生に関与していることを明らかに

2015年2月2日 13:34

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塩基置換パターンに基づく、肝内胆管がんと肝細胞がんのゲノム全体でみた変異パターンの類似状況を示す図(理化学研究所の発表資料より)

塩基置換パターンに基づく、肝内胆管がんと肝細胞がんのゲノム全体でみた変異パターンの類似状況を示す図(理化学研究所の発表資料より)[写真拡大]

  • IDH遺伝子の変異の有無と肝内胆管がんの生存率を示す図(理化学研究所の発表資料より)

 理化学研究所の中川英刀チームリーダー・藤本明洋副チームリーダーらによる研究グループは、30例の肝内胆管がんの全ゲノム情報を解読し、肝炎ウイルスなどによる慢性肝炎や肝硬変が、肝内胆管がんのゲノム異常と発生に強く関与することを証明した。

 肝内胆管がん発生のリスク因子として、肝臓内の胆石や慢性胆管炎が挙げられるが、最近の疫学研究では、慢性肝炎や肝硬変も重大なリスク要因であることが示されている。

 今回の研究では、B型肝炎やC型肝炎患者を含む、30症例の肝内胆管がんの組織と血液からDNAを抽出し、それらの全ゲノム情報を最新の次世代シーケンサーとスーパーコンピュータを駆使して解読した。その結果、肝内胆管がんの全ゲノム上で1つの腫瘍につき平均約4,300カ所の変異が発見され、慢性肝炎のある肝内胆管がんの塩基置換パターンは、肝細胞がんと類似していることが分かった。さらに、B型肝炎ウイルスのゲノム配列が複数の肝内胆管がんのゲノム中に挿入されていることも明らかになった。

 今後は、現在早期診断法や効果的な治療法がない肝内胆管がんに対して、新規の治療法や診断法が開発されると期待されている。

 なお、この内容は1月30日に「Nature Communications」に掲載された。

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