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経営再建中のユニチカ 防火スクリーン虚偽申請発覚
国土交通省は12月16日、ユニチカ設備技術が製造した防火スクリーンが、建築基準法の認定基準を満たしていないと発表した。同社は虚偽の申請書を提出して、国が規定している性能評価・大臣認定を受けていたという。今回明らかになった虚偽の申請書の存在は、同社から国土交通省に報告する形で明るみに出た。
対象となる防火スクリーンは「ユニファイヤーガード」のウォークスルータイプ。また、別会社である内外テクノスが製造している「テクノス防火スクリーン」についても、ユニチカ設備技術が技術提供を行っていたものであることから、認定基準を満たしていない製品であることが分かった。
防火スクリーンはビルや建物などに設置され、火災が発生したときに煙を自動的に感知し、スクリーンで区画を遮断するための設備。建築基準法の規定に基づいて遮煙性能試験を合格したものだけが国土交通大臣の認定を受けることができる。
ユニチカ設備技術は2005年に防火スクリーンの大臣認定を受けている。遮煙性能試験では、遮煙材として炭素繊維フェルトとセラミックを使用した設計でパスしていた。しかし、性能評価・大臣認定の申請時には、セラミックのみの使用に内容を改ざん。さらに実際に販売していた防火スクリーンにはセラミックさえも使用されておらず、遮煙性能を著しく欠いた製品を製造・販売していた。同製品は商業施設やマンション、学校、病院などの1,616施設に設置されており、今年9月の時点で6,241台が販売されていた。
幸い現時点では人的被害は報告されていない。親会社であるユニチカ<3103>は遮煙材を早急に取り付けて対応するとしたが、虚偽の申請や基準値以下の製品を製造していたことに対する強い批判は免れないだろう。
今年5月にユニチカは、繊維業の不振から金融機関に対し総額375億円の支援を要請。経営再建の真っただ中だった。15年3月期連結決算では370億円の最終赤字を見込んでおり、それに追い打ちをかけるような不祥事が起きてしまった。防火スクリーンの改修費などで経営がさらに圧迫される上、企業のイメージ悪化という重荷を払しょくしていく必要がある。(編集担当:久保田雄城)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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