【業績でみる株価】日本触媒は中国人観光客が紙おむつ大量買い、原料好調で今期上方修正の可能性、株価は見直し局面入り

2014年10月27日 10:48

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

 日本触媒 <4114> は、収益源の紙おむつの材料の販売好調から値上げ浸透が早く、利益率が改善。株価はじり高歩調を鮮明にしてくる。

 訪日する中国人観光客は、大量に日本の紙おむつを購入して帰る。なぜか。中国メーカーが生産する紙おむつの品質が劣悪で、中国で日本製紙おむつのニーズが非常に高いためだ。加えて人口増加が著しい中国において日本製の紙おむつの需要は当然、拡大中である。

 こうした中、同社の主力製品である紙おむつ材料『高吸水性樹脂』(SAP)や原料のアクリル酸が伸長している。原料高を受けた値上げも順調に浸透中だ。また2012年9月に姫路製造所は事故で一時、操業停止となったが2014年2月に完全に復旧した。

■稼働率急向上、利益率改善

 国内外工場の稼働率は平均で前年同期の60%前後から、80%前後まで向上した。この効果は大きく、売上高経常利益率は2014年9月期には5.93%(前年同期3.98%)まで改善すると見られる。

 このため、2014年9月中間期の売上高は1770億円(前年同期比34.8%増)、経常利益105億円(同2倍)を当初予想通り最低確保するものと見られる。同社を取り巻く環境は円安効果(海外比率47%)も加わって好転しており、ここにきて売上高、利益ともに上方修正の可能性が浮上してきた。ただ、最終利益は中国での増産中止に伴う特別損失発生で当初予想どおりの70億円(同2.1倍)となる見込みである。

 こうなると続く2015年3月期通期の業績が楽しみとなる。また、矛盾しているかも知れないが、中国での増産中止は評価できる経営判断だと思う。中国へは日本からの輸出で対応した方が、チャイナリスクは低減できよう。

 株価は長期上昇パターンを描いている。2012年10月の安値738円を起点に約2年間、見事にジリジリと値を切り上げている。2014年7月に1384円高値を付けた後、利食い売りに押されて、1100円台まで下げた。しかし、すかさず再び1200円台を回復。信用買い残高はやや増加傾向にあるが、回転が効き始めてきたことから、気にするほどではない。逆に下値には小口の買い物がすかさず、入る。

 配当も年22円と高い。年度末近くになると配当取りの動きも台頭してこよう。中期的には二進一体の展開が期待できるため、目先の動きに惑わされない投資行動がベターだろう。PERは12.7倍前後、PBRは1.1倍前後といずれも割高感は薄い。さらに配当利回りは1.7%と申し分ない。このため2014年7月高値奪還から、1500円台での活躍が想定できるのではないだろうか。資産を着実に増やしたい個人投資家にとって同社株は打ってつけの銘柄と言える。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【今日の言葉】アベノミクスに「陰り」から「ひび割れ」の心配(2014/10/16)
【編集長の視点】N・フィールドは3連騰、株主優待制度導入で株式分割の権利取りが増勢(2014/10/16)
【狙い場・買い場】サカタのタネは高値奪回から一段と騰勢を強める可能性(2014/10/16)
【今日の言葉】エボラに日本の力(2014/10/15)
【どう見るこの相場】NYダウ、日経平均は短期で8~10%下げ目先底打ち感(2014/10/16)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事