進む住宅価格の二極化。高価格の住宅は受け入れられるのか?積水ハウスがフラッグシップモデルを刷新

2014年10月4日 21:16

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記事提供元:エコノミックニュース

9月26日、積水ハウスが鉄骨住宅の「イズ・シリーズ」発売30周年を機に販売を開始したNew「イズ・ステージ」

9月26日、積水ハウスが鉄骨住宅の「イズ・シリーズ」発売30周年を機に販売を開始したNew「イズ・ステージ」[写真拡大]

 住宅大手の積水ハウスは9月26日、同社の鉄骨住宅のフラッグシップモデルである高級住宅「イズ・シリーズ」の発売30周年を機に「人生になる家。」をコンセプトにしたNew「イズ・ステージ」とNew「イズ・ロイエ」の販売を開始した。

 「イズ・シリーズ」の発売が開始された30年前といえば、日本はちょうど高度成長期を終えて、経済的にも落ち着きとゆとりが出てきた頃。

 バブル景気とその崩壊、その後のリーマンショックなど、30年の間に社会的、経済的な情勢が大きく変化していった中でも着実に実績を積み上げ、30年間で累積建築7万棟を超える住宅業界でも異例のロングセラー住宅となった。「イズ・シリーズ」の最大の魅力は、シリーズの代名詞ともいえる外壁材「ダインコンクリート」だ。積水ハウスが独自に開発したこのダインコンクリートは、耐火性、遮音性、耐久性に優れた最高級外壁材であるが、性能だけでなく、重厚で存在感のあるデザイン性も特長となっている。デジタル革命を例にひくまでもなくライフスタイル、世相、流行が大きく変化しており、30年も経過すればさすがに時代を感じさせるものだが、1984年当初に販売されたイズ・シリーズ「イズ・フラット」でも、古臭さどころか今の時代でも充分通用する瀟洒な外観となっている。

 今回発売されたNew「イズ・ステージ」とNew「イズ・ロイエ」のポイントは大きく3つある。まず一つめが、印象的なデザインだ。1階部分より2階をより大きく設計することが可能となり、外観シルエットのデザインによりモダンなテイストを加えた。また、同時に大きな開口や軒下空間で室内と戸外をつなぐ「スローリビング」がより実現しやすくなるなど、快適性や利便性も向上している。二つめは、サッシを外壁面から25センチまたは50センチセットバックさせることで、外壁の重厚さを強調していることだ。美術館や博物館、または歴史的な建造物などで見られるような少し奥まった窓が石造りの邸宅を思わせる。三つめは、木調スクリーンなどの外装部材を外観に積極的に取り入れることで、重厚な存在感を生かしながら日本の風景になじむナチュラルな表情を加え、落ち着きと安らぎを演出しているところだ。これにより、これまでの「イズ・シリーズ」よりもさらに高級感が高まっている。これらの新しい要素は9月26日の発表時に開発担当者のコメントにあった、「日本の新しいデザインを提案したい。」という同社の思想を実現させるものとなるだろう。同社によると鉄骨2階建ての実績のうち、1棟7000万円を超す物件は1.5%。全体の平均は3600万円台なので、超高級価格帯だけを狙うものではないが、この最上級帯の販売はまだ伸ばせるという。

 日本の住宅は、欧米などに比べて寿命が短いといわれている。日本建築学会が公表している国際比較のデータによると、日本の住宅の代替り周期は30年。しかしながら、建物の基本性能やメンテナンスさえしっかりしていれば、100年でも住まい続けることは可能だ。また、長い年月を経ても飽きのこないデザインであることも大きなポイントといえよう。30年前に建てられた「イズ・シリーズ」が今なお現役で、快適に住まわれているのが良い証拠だろう。

 日本の住宅も質の向上やストックを重視する方向に向かいつつある。家は一生に一度の大きな買い物であり、家族の人生のよりどころとなるものとして高付加価値の住宅への注目も高まっている。一方で景気浮揚の見通しが不透明な中、低価格の住宅に人気が集まり、価格の二極化が顕在化している。折しも、消費税増税の気配が濃厚になりつつあるが、目先の価格やオプションサービスなどだけでなく、100年先の、子や孫の人生も見据えた長い目で見た住宅選びが可能であるならば高価格住宅の戦略にも十分に勝機があるのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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