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阪大、トキソプラズマが宿主の身体を乗っ取るメカニズムを明らかに
大阪大学の山本雅裕教授らによる研究グループは、トキソプラズマ症重症化は病原性因子GRA6によって宿主の免疫制御分子NFAT4を活性化し、宿主自然免疫細胞を強制的に利用(ハイジャック)することで引き起こされていることを明らかにした。
寄生虫トキソプラズマは全世界人口の3分の1が感染しており、健常者の場合は問題ないが、エイズ患者や抗癌剤投与下の患者には致死性の脳症・肺炎・心筋炎などを発症することが知られている。トキソプラズマは自然免疫細胞に潜伏して表面に出てこないため宿主免疫系の監視網を逃れることができるが、その詳細については明らかになっていなかった。
今回の研究では、トキソプラズマが感染細胞中に分泌するGRAタンパク質を哺乳動物細胞内で発現させ宿主転写因子活性化経路の反応を調べたところ、GRA6が免疫制御分子NFAT4を活性化していること、そしてNFAT4を強制的に活性化することで免疫細胞遊走能を有するケモカイン群を誘導し、感染局所に「トロイの木馬」となる好中球を遊走させて全身に感染拡大していくことが分かった。
今後は、NFAT活性化阻害薬を使用することでトキソプラズマ症の発病を食い止める治療法が開発されると期待されている。
なお、この内容は9月15日に「Journal of Experimental Medicine」に掲載された。
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