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阪大、分裂期にはDNA修復機構がゲノムDNAを壊すことを明らかに
ヒト細胞の分裂期に抗がん剤(エトポシド)で、DNAに傷を入れるとゲノムDNAの破壊が起こる様子。左がDNAに傷を入れた場合、右はDNAの傷を入れない対照実験。ヒト染色体上で矢印が壊れている箇所(大阪大学の発表資料より)[写真拡大]
大阪大学の寺澤匡博特任研究員・篠原美紀准教授らによる研究グループは、細胞の分裂期に限っては、DNA修復機構がゲノムDNAを破壊してしまうことを明らかにした。
細胞ががん化する原因の一つは、物理的に遺伝情報が壊れてしまうことであり、これを防ぐために私たちの体にはDNA修復機構が備わっている。
今回の研究では、ヒト細胞を用いた実験で、DNA修復に必要なXRCC4タンパク質が分裂期にリン酸化されて機能しないようにする仕組みが備わっていることを発見した。実際に、このリン酸化を妨げたところ、分裂期にゲノムDNAの破壊が進んでしまうことも観察された。
本研究成果は、がん細胞の分裂期にDNA修復機構を活性化することで抗がん剤の効果を高めることができる可能性があることを示唆しており、新しい抗がん剤の創薬に役立つと期待されている。
なお、この内容は8月28日に米科学雑誌「PLoS Genetics」に掲載された。
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