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10年後の住宅市場 マーケットの縮小にどう対応するのか
2009年度、45年振りに80万戸を下回った新設住宅着工戸数は、その後4年連続で増加を続けている。とりわけ13年度は、「景気回復」や「消費増税前の駆け込み需要」といった要因が影響し、98.7万戸にまで回復し、住宅メーカー各社は軒並み好決算に沸いた。[写真拡大]
2009年度、45年振りに80万戸を下回った新設住宅着工戸数は、その後4年連続で増加を続けている。とりわけ13年度は、「景気回復」や「消費増税前の駆け込み需要」といった要因が影響し、98.7万戸にまで回復し、住宅メーカー各社は軒並み好決算に沸いた。しかし、野村総合研究所<4307>のレポートは14年度以降の新設住宅着工戸数に関しては、人口・世帯数の減少や住宅の長寿命化など、着工戸数を押し下げる要因を考慮する必要があるとして、警鐘を鳴らしている。
今後の住宅市場を取り巻くマクロ環境として、世帯数減少時代に突入することで、住宅市場は構造的な変曲点を迎えることになるとレポートは予測している。新設住宅着工戸数は、今後数年間は90万戸前後で推移するものの、次第に減少し11年後の25年には62万戸にまで減少すると予測しているのだ。
このレポートに先立ち、政府はリフォーム・中古流通市場を20年までに20兆円規模に育成する方針を掲げている。12年5月、国土交通省は新成長戦略に示された「中古住宅・リフォーム市場の倍増」に向け、新築中心の住宅市場からリフォームにより住宅ストックの品質・性能を高め、中古流通により循環利用されるストック型の住宅市場への転換を図ることを定めたのだ。
こうした背景があり、住宅大手はリフォームの受注に力を入れる。顧客の層が厚い首都圏でも20年ごろには世帯数が減少に転じる見通しだ。中古物件はシニア層に加え、若い世代の需要も高まっている。各社は既存の物件でも稼げる体制づくりを急いでいる。
地価や新築が高い都市部では、若い世代を中心にリノベーションの人気も広がっている。割安な中古の戸建てやマンションを購入し、自分の好みにあわせ部屋全体のイメージを大きく変える。パナホーム<1924>は中古マンションを買い取り、子育て中の家族やシニア世帯など具体的な顧客を想定した間取りに変更。都内で4000万~5000万円で販売する。今後はマンション1棟を丸ごと買い取り個別に改修することも検討している。
今後は住宅メーカーのあり方が現在のそれとは大きく変わることが予想される。いかに消費者のニーズにマッチした住宅のあり方を提案できるか。それに伴い住宅メーカーの勢力図も塗り変わる可能性がある。(編集担当:久保田雄城)
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