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中小企業6割が賃上げ 最多は「製造業」「卸」「農・林・魚」「建設」
株式会社東京商工リサーチは、中小企業3000社以上を対象に賃上げに関するアンケート調査を行った。アンケートは、2014年5月から6月10日にインターネット上で行われた。
「賃上げを検討しましたか」の問いに対し、「はい」と答えたのは2,563社で全体の77.2%となった。一方、「いいえ」と答えたのは、756社で22.8%となった。実際に、「賃上げを実施しましたか」という問いに対し、「はい」と答えたのは、2,132社で全体の64.2%、「いいえ」と答えたのは、1,187社で35.8%となった。約8割弱の企業が賃上げを検討し、6割以上の企業が実際に賃上げを行ったことになる。
賃上げを実際に実施した企業(2,132社)を対象に、昇給の内容について質問したところ、「定昇(定期昇給)とベア(ベースアップ)」と答えた会社が最多の430社で全体の20.1%を占めた。次いで、「定昇のみ」が419社で19.6%、「定昇&賞与・一時金」が413社で19.3%となった。賃上げを実施した企業のうちの大半が、定昇をベースに行っていることがわかる。
「実施時期はいつごろですか」の問いに対し、「4月」が1,302社で61.0%と最多であった。「3月以前」は260社で12.1%、「5月」が238社で11.1%、「6月」が161社で7.5%となった。新年度に入り賃上げの実施に踏み切った企業が多かった。
一方、賃上げを見送った1,187社に「賃上げを実施しない理由は」と問うたところ、「先行き見通し難」が最多の643社で全体の54.1%となった。ついで、「原資が不足」が260社で21.9%、「その他」が284社で23.9%となった。
従業員数別では、賃上げを実施した企業のうち、「50人以上100人未満規模」が73.7%で最高だった。次いで、「100人以上」が72.7%、「10人以上50人未満」が67.1%となった。一方「5人未満」は35.0%にとどまった。従業員規模が大きいほど賃上げを実施していることになる。
産業別では、賃上げを実施した企業の構成比は「製造業」が69.4%と最多。次いで、「卸売業」65.6%、「農・林・漁・鉱業」63.6%、「建設業」62.3%の順。ほか、「金融・保険業」は39.1%、「不動産業」51.5%、「小売業」57.0%となった。製造や農林業・卸・建設等の第一次・第二次産業といった人手不足が減収に直結する業界では、好景気感に伴う就業者離れを防ぐために賃上げに踏み切ったとも読み取れる。
こと賃上げに関しては、「隣の芝生は青く見える」もの。大局に立ち一喜一憂しないようにしたいものである。(編集担当:堺不二子)
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