【鈴木雅光の投信Now】資金流出ファンドには手を出すな

2014年7月8日 15:12

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  投資信託を買う場合、何を基準にして選ぶだろうか。すでに投資先マーケットが決まっているとして、同じコンセプトのファンドが10本あったとする。

  運用実績だろうか。しかし投資信託の場合、過去の運用実績の再現性は無きに等しい。この1年で10%上昇したからといって、さらに次の1年も10%で運用できる保証はどこにもない。

  それでは、コストはどうだろうか。確かに、購入手数料や運用管理費用といったコストが出来るだけ割安な投資信託を選ぶことも重要だ。でも、それ以上に投資信託を選ぶ際、重視するものがある。それは資金の流出入だ。

  多くの投資信託は、運用期間中でも自由に追加購入、解約が可能になっている。その結果、日々、資金の流出入が生じることになる。追加購入の総額を解約の総額が上回れば資金流出、解約の総額を追加購入の総額が下回れば資金流入というわけだ。

  問題は、解約増によって資金流出が続いた場合。投資家の解約要請に応じて解約資金を作らなければならないため、投資信託に組み入れられた資産を売却する必要に迫られる。つまりポートフォリオを取り崩さざるを得なくなる。しかも、資金流入にならないと、将来の運用実績を支える値上がり期待の高い資産を組み入れることもできないし、値下がりしたところで平均の買付コストを下げるためのナンピン買いも出来なくなる。つまり資金流出が続くということは、構造的に投資信託の運用実績を押し下げる影響を及ぼす。

  つまり、資金の流出入状況というのは、投資信託の運用実績を根底で支える重要な要素ということになる。

  したがって、投資信託を購入する場合は、まず資金が継続的に流入状態にあるものを選ぶ必要がある。なお、資金の流出入状況については、モーニングスターのサイトを見れば、過去3年程度の状況が把握できる。購入する投資信託の候補が決まったら、このサイトを通じて資金の流出入状況をチェックして、継続的に資金流入が続いているものを優先的に選ぶべきだろう。(証券会社、公社債新聞社、金融データシステム勤務を経て2004年にJOYntを設立、代表取締役に就任、著書多数)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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