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1日1万株の野菜を生産 国内最大級の植物工場が稼働開始
環境問題や震災の影響などから「食の安心、安全」、「気象変動による野菜価格の高騰」、「健康志向」、「地産地消」、「食料自給率の向上」といった課題解決のため、社会の植物工場に対する関心が高まっている。植物工場は気象・病虫害等の被害リスクを最小にし、植物の生育環境を最適に維持することでできるため、このようなニーズに対応することができるからだ。
株式会社みらいと三井不動産<8801>は5日、「柏の葉スマートシティ」で国内最大級の植物工場「柏の葉 第2グリーンルーム」を本格稼働開始したと発表した。
この植物工場では、多段栽培施設による高い生産性で安定的な野菜供給が可能。また園芸学専攻の技術者による成分コントロールにより、より機能性に優れる野菜生産が可能となり、レタス、グリーンリーフ、ロメインレタス、フリルレタスを含む15種類以上の野菜を、1日につき約1万株生産・出荷する国内最大級の植物工場となる。
柏の葉スマートシティでは「環境共生都市」「健康長寿都市」「新産業創造都市」の3つの取り組みを推進している。そのうち「新産業創造都市」に掲げる「日本の技術力を活かしたベンチャーを地域で支援」する一環として事業化した。
同植物工場は三井不動産が工場事業主となり(三井ホーム株式会社が施工)、みらい社が工場を運営する。生産された野菜は、JAグループをはじめとする系統団体が国と連携して設立した6次産業化ファンドからの出資をうけた株式会社みらいトレーディングがパッキングして出荷する。
三井不動産は、高い技術力をもったベンチャーとの共創を進めるため、柏の葉キャンパスシティにおける「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」や、霞が関ビルディングにおける「LIAISON-STAGE 霞が関」などでインキュベートオフィスを展開している。みらい社は「LIAISON-STAGE霞が関」の開設当初からのテナントである。
柏の葉スマートシティ植物工場「柏の葉 第2グリーンルーム」の主な特徴は、外気を遮断した環境で農薬を使わずに野菜を栽培し、1年中安定的に提供することが可能だ。また、多段の栽培ベッドを使用することで、狭い空間で効率よく野菜を生産・収穫する。
品質的には、独自の栽培ソフトにより苦みが少なく栄養価の高い野菜を生産する。さらに、新型のスタンディング型のパッケージ採用による、清潔感の向上と鮮度保持期間を長期化できる。気密性、断熱性が高く、大空間を実現した木造工法により、安全性と生産性を向上した。
植物を工場で作らないと安全なものができないという時代か。少し複雑な思いはあるが、それでも安全な野菜を食べたいのはみんな同じ。問題は運営側がコストや採算に見合うかどうかだろう。(編集担当:慶尾六郎)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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