1000円カットで単価下落の理容室、厳しい現状

2014年5月23日 23:15

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記事提供元:エコノミックニュース

 ヘアサロンや理容室などの「理美容業界」が苦戦を強いられている。矢野経済研究所によると、13年度の市場規模は前年度比99.2%の2兆2087億円(事業者売上高ベース)にとどまった。

 特に理容室などの市場規模は、6600億円で前年度比98.7%と低迷。90年代後半から続く美容師・ヘアサロンブーム、若い男性の「理容室離れ」、顧客の来店サイクルの長期化や「1000円カット」チェーンの台頭など、理容室をめぐる状況は厳しい。

 都心では、1万円を超えるメニューを提供する「高級理容室」も注目されている。ただ、こうした付加価値を提供できる理容室はごく一部。多くは際限ない価格競争に巻き込まれているのが現状だ。

 理容師たちは、このまま事業を続けていても将来が見えないと、自主廃業を迫られている。厚生労働省の衛生行政報告例によれば、13年3月末現在、全国の理容所数は約13万。前年度から1.1%減少した。理容室の数は86年をピークに減少を続けており、90年代半ばに若干増加したものの、カリスマ美容師ブームが起きた98年頃からは再び減少に転じた。

 理容師の数も減っている。13年3月末現在、全国に約24万人。美容師が増加の一途をたどるのとは対照的に、前年より1931人減少した。

 現状を打破しようと、理美容化粧品メーカーや卸はタッグを組んで、理容室への働きかけを進める。従来メニューの顔剃り・髭剃りメニューのグレードアップ化や、男性用スキンケア、スキャルプケア・育毛メニューなど、経営者に向けた新サービスの普及・浸透を図っている。

 理容室と比べればまだ好調にみえる美容室も、13年の市場規模は1兆5487億円。前年比99.4%とやや低迷した。美容室も、客単価の減少と過当競争が止まらない。日本には現在、コンビニエンスストア数の4倍以上、約23万店もの美容院がある。市場は飽和し、理容室も美容室も、他店との差異化が難しくなっていることに変わりはない。(編集担当:北条かや)

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