敵の敵は味方? 東大、外来種が別外来種の増加を防いでいることを明らかに

2014年5月15日 20:54

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ため池におけるウシガエル、ツチガエル、コイをめぐる種間の関係を示す図(東京大学の発表資料より)

ため池におけるウシガエル、ツチガエル、コイをめぐる種間の関係を示す図(東京大学の発表資料より)[写真拡大]

 東京大の宮下直教授らによる研究チームは、外来種は別の外来種の増加を防いでいることを明らかにした。

 外来種がある生態系に侵入すると在来種を減少させることが懸念されるものの、これまで、それを実証する研究はほとんどなかった。

 今回の研究で宮下教授らは、岩手県一関市にある約150のため池を調査した。その結果、まず外来種のウシガエルが生息地を広げ、在来種のツチガエルを減少させていることが分かった。ところが、ため池に別の外来種であるコイが生息している場合は、ウシガエルの定着率が悪く、ツチガエルの数がそれほど減らないことも明らかになった。

 その理由は、ツチガエルのオタマジャクシは水草などに隠れる習性があるのに対して、ウシガエルはそのような修正がないためコイに食べられやすいからではないかと推測される。

 この研究成果は、安易に外来種を駆除すると、別の外来種を増加させてしまう可能性があり、外来種を含む生態系を管理する際は生物同士の関係性を重要視しなければならないことをを示している。

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