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【忠田公夫の経済&マーケット展望】アメリカ景気に明るさも中国リスクが急浮上
2月12日付けで、「日経平均(2月4日の1万4008円)やドル円(同100円76銭)は既に厳しい状況を脱し、次第に上昇トレンドを強めていこう」と記し、米国経済の下振れについては、「記録的な寒波による一過性のものであることが明らかになりつつある」と書いた。
先週末に発表された2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比17万5000人の増加と、やや好転の兆しを示した。4~5月になれば雇用者数の伸びは20万人台に乗せ、米国の国内総生産(GDP)の70%を占める個人消費の増大につながる方向にある。
注意すべき点は中国経済の動向だ。成長のスピードは鈍化しており、このところ業績の悪化する企業が増加しつつある。その一社である太陽光パネル大手・上海超日太陽能材技が、このほど社債の利払いができなかったことが判明。今後、元本の支払いの可能性は残されているため、現時点では冷静に受け止められているようだが、推移を見守る必要があろう。これまで中国では、社債や理財商品が債務不履行のリスクが高まると政府や銀行がいろいろな手を講じて救済してきた。このたび社債市場で初めて利払い不履行が発生したが、当分の間、中国の社債市場や株式市場の変動を注視せざるを得ない。
上海総合指数は一昨年12月安値の1959ポイント、昨年6月安値の1950ポイント、今年1月安値の1991ポイントの3つのボトム(逆三尊底)を形成しつつあったが、今回のデフォルト・リスクの高まりで信用不安の懸念が生じると、底割れという事態も招来しかねない。
日本株については2月4日の1万4008円安値に上値を試しつつあるが、海外要因を注視しながら、押し目買いで臨みたい。消費増税により4~6月の景気悪化は不可避と見られるが、5~6月に予想される日銀の追加緩和(7~9月のGGDPを高めるために必要な措置)、法人実効税率の引下げを含む成長戦略が具体化すれば、夏場に高値更新が期待される。(経済・株式評論家・アナリスト。ナショナル証券投資調査部長、SMBCフレンド調査センター常務を経て現職。96年に日本経済新聞社・日本経済研究センター主催の関西経済人・エコノミスト会議において優秀エコノミスト賞受賞)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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