NEC、NTT、NTTコム、富士通、日立製作所の5社、SDNで柔軟な広域ネットワークを実現する基本技術を確立

2014年3月7日 17:21

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プロジェクトの全体概要を示す図(NECの発表資料より)

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 日本電気(NEC)、日本電信電話(NTT)、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所の5社は7日、複数の広域ネットワークインフラを統合管理するプラットフォームや、その上で動作する汎用ネットワーク制御アプリケーションなど、広域ネットワークのSDN(Software-Defined Networking:ネットワークをソフトウェアで制御する概念)化につながる基本技術を確立したと共同発表した。

 5社は共同で、総務省の「ネットワーク仮想化技術の研究開発」の委託研究として、通信事業者が提供するモバイルネットワークやインターネットなど広域ネットワークインフラの総合的なSDN化を目指す世界初の研究開発プロジェクト「Open Innovation over Network Platform」を2013年6月から推進している。今回の発表はその成果となる。

 今後は、実用化を目指し、グローバルな普及や、標準化を推進していくという。2013年度中には、ホームページなどにより情報公開を開始し、2014年度中には成果の一部をオープン化する予定。2016年3月までには研究成果内容と実証実験等の結果を明らかにし、国内外の通信事業者・サービスプロバイダ・ベンダへの提供を目指すという。

 今回の成果の詳細は、次の通り。

(1)統一的ネットワーク情報データベース技術とリソース割り当て技術
 複数の広域ネットワークを構成するネットワークをそれぞれ統一的ルールで管理するために、ネットワーク構成情報や通信状態情報など必要な情報を共通的に扱える表現形式で定義し、これを扱うネットワーク情報データベースを構築した。これにより、下位レイヤである光ネットワークと上位レイヤ(パケットトランスポート)を簡単に接続可能とし、関連する装置を連携させることで、マルチレイヤでのパス設定を実現した。

 また、上記のネットワーク情報データベースを基に、光レイヤとパケットレイヤで必要となる帯域などのリソースを自動的に割り当てることにより、迅速なネットワークサービスの提供が可能となる。

(2)ネットワーク共通制御/管理技術
 (1)で実現したネットワーク情報データベースを活用し、複数のネットワークを対象とした運用管理や制御が可能なソフトウェア技術を開発した。

 具体的には、新規ネットワークと既存ネットワークの相互接続を目標に、接続に必要な機能を仮想化することで制御負荷を平準化し、既存の大規模ネットワークに対応した新規仮想ネットワークの高速な構築を実現した。

 また、相互接続の際、既存ネットワークから新規ネットワークへの漸進的移行を支援する、ネットワーク移行技術を開発した。この他、エンドユーザが要求する帯域に応じた最適な光コアネットワーク資源の提供を実現した。

(3) 仮想化対応ネットワーク装置技術
 上記(1)(2)により制御可能な各種SDNネットワーク装置の基本技術を検証し
た。
・SDN対応ソフトウェア転送ノード:10万フロー時における転送性能目標を達成。
・SDN対応光コアノード:パケット信号の遅延などの品質要求を満たすために、パケット信号を光ネットワーク上で転送される回線信号へ振分け/収容する機能を試作した。
・SDN対応パケットトランスポートノード:仮想ネットワークから要求されるサービス品質(10種類以上)の提供を従来の数カ月から数分以内に短縮するPTN制御技術およびドライバ技術を開発。
・SDN対応オーバーレイスイッチ:特性の異なるフローごとに適切な転送経路の設定を実現した。

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