(ウクライナ)市場は危機後退を好感も、対立の芽は残されたまま

2014年2月25日 08:59

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記事提供元:フィスコ


*08:59JST (ウクライナ)市場は危機後退を好感も、対立の芽は残されたまま
ウクライナでヤヌコビッチ政権が崩壊したのを受け、市場では同国が欧米諸国から金融支援を確保できるとの観測が広がっています。

米財務省によると、ルー財務長官は国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と協議し、ウクライナが国際支援を必要としているとの意見で一致したようです。また、ウクライナを支援する母体組織としてIMFが最も適切だとの意見が交わされたとも伝わっています。

きのう24日のウクライナ金融市場では債券相場が上昇し、株式相場は2010年5月以降で最大の値上がりを記録しました。

ウクライナ暫定政府は、同国がデフォルト(債務不履行)を回避するために350億米ドルの支援が必要だと説明。米国と欧州連合(EU)は新政権を支援すると明言しており、市場ではウクライナ危機が欧米諸国主導で解決に向かうとの楽観論が優勢になっているようです。

ウクライナ内戦の背後にあるのはEU加盟を目指す反政府派とロシア経済圏入りを目指すヤヌコビッチ政権との対立です。ヤヌコビッチ政権が倒れたからといって、ロシアと欧米との綱引きが終了した訳ではありません。

ウクライナ内部でも、ロシア海軍の黒海艦隊基地があるクリミアではロシアを支持する数百人の民衆がデモを起こし、「ファシストの侵入を許さない」と怒りをあらわにしていると報じられています。

ウクライナは歴史的にロシアと欧州に翻弄(ほんろう)された苦い経験を持ち、ロシアと欧米が複雑で入り組んだ利権を有しています。

ウクライナはEU加盟を目指しているようですが、財政難を抱えた大国を受け入れる余裕が現在のEUにあるとは思えません。金融市場では「ウクライナの混乱がこれ以上続かないとの期待」が好感されているのでしょうが、同国を巡る欧米とロシアとの綱引きがあらためてヒートアップする可能性は残されたままです。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

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