玉兎号、月の夜明けを迎えるも沈黙

2014年2月11日 12:00

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  中国の月探査車、玉兎号のいる場所が夜明けを迎えた。玉兎号は今回の夜に入る直前に故障したことが分かっており、復旧できるかどうか注目されているが、現時点で発表はない。

  玉兎号は中国の月探査ミッション「嫦娥三号」に搭載されていた月探査車(ローバー)で、今回のミッションの主役ともいうべき機体である。6輪の車輪で月面を走行し、気になった場所の地質や地下構造を探ることを目的としていた。月にローバーが送り込まれるのは、1973年の1973年のルノホート2以来、実に40年ぶりのことであった。

  嫦娥三号は12月2日に打ち上げられ、14日に月の「雨の海」に到着し、その約7時間後に着陸機から玉兎号が発進した。観測機器に電源が入り、ロボット・アームも起動。本格的な走行も始まり、新華社通信によれば現在までに100mほど移動しているという。その後、月に夜が訪れるのに伴い、12月26日からスリープ・モード(休止状態)に入り、月の夜が終わる約2週間後の今年1月11日にスリープ・モードから復帰、16日には月の土の調査を初めて実施している。

  しかし2度目の月の夜を迎える直前の1月25日、中国の新華社通信は「玉兎号に機械的な制御異常が発生した」と報道、その後復旧したとも、あるいはしなかったとも、情報は一切提供されないまま、玉兎号のいる場所は夜を迎えた。

  月はおおよそ2週間ごとに昼と夜が訪れ、昼の温度は120度、夜は-180度にもなる。そのため月面の探査機とってはこの夜を越える技術(越夜技術)が必要となる。玉兎号の場合、夜を越える際には太陽電池の一つを太陽が昇る方向へ向け、またもう一つの太陽電池は蓋のように折り畳まれ、内蔵しているヒーターで温め続けられる仕組みになっている。もし何らかの理由でこの仕組みが機能していなければ、玉兎号は夜の低温に耐えられず、壊れてしまっているだろう。

  玉兎号にとっての2度目の夜は、2月9日の早朝に明けた。しかし現在までに何も情報は発表されていない。

  中国の宇宙開発ファンが集うインターネットフォーラムや、微博(中国のツイッターのようなもの)では、玉兎号を心配する書き込みで溢れており、多くの人々が玉兎号の物語の行方を見守っている。

 ■嫦娥3号月面任务跟踪帖(2)——着陆器和月球车进入落月后第二次夜间休眠 - 就爱飞行!
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