新興国危機は断片的:南米の経済環境は悪化、タイでは選挙実施を好感する買い

2014年2月3日 15:34

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記事提供元:フィスコ


*15:34JST 新興国危機は断片的:南米の経済環境は悪化、タイでは選挙実施を好感する買い
一部の新興国に対する経済や通貨への不安が投資家のリスク回避姿勢を促している。特にブラジルやアルゼンチン、トルコなどの経済ファンダメンタルズ(基礎的要件)の脆弱(ぜいじゃく)性に投資家の視線が向かっているようで、月末に発表された経済指標がこの不安を深刻化させる危険性をはらんでいる。

アルゼンチン経済財務省が1月31日発表した2013年の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は前年比5倍増加して225億ペソ(約2880億円)の赤字となり、過去21年間で最大の赤字幅を記録。また、同国の財政赤字は645億ペソと、前年から16%増加している。

同国の調査会社によると、今年1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比4-6%と、約10年ぶりの高い伸びになる見込み。バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は最新リポートで、アルゼンチンは現在の1米ドル=約8ペソという為替レートでは競争に太刀打ちできないと指摘。2014年はマイナス成長になる公算が大きいと予測した。バンカメはさらに、政府が行動せずに現在の政策が何カ月も続けば、経済活動が少なくとも5%落ち込むと見込んでいる。

このほか、ブラジルでは2013年の財政赤字が1576億レアル(約6兆6700億円)となったが、12月には赤字が136億レアルに到達し、前月の2億レアルから大幅に増大した。ブラジル中央銀行によると、2013年のプライマリーバランス黒字は対国内総生産(GDP)比で1.9%となり、政府目標となる2.3%を大幅に下振れ。政府は年初に定めた約3.1%から目標を引き下げたが、これをも下回る結果になった。

トルコでは12月の貿易赤字が99億2000万米ドルとなり、前年同月の72億米ドルから増加。ブルームバーグがまとめた市場予想71億米ドルを上回る赤字幅を記録した。トルコでは輸入抑制を狙って自動車や家電製品にかかる消費税を引き上げたほか、消費者ローンの伸びを抑えるために新規制を導入している。

一方、タイでは昨年12月の経常黒字が市場予想を上回ったほか、1月24日時点の外貨準備高は前回を上回る1672億米ドルに増加。この日の金融市場では株式相場とタイバーツが上昇している。

同国では2日に総選挙が実施されたが、約90%の投票所で有権者の投票が実施された。反政府デモ隊の妨害もあって結果が確定するには数カ月かかるとの見方もあるが、市場では投票が実施されたことを評価する買いが勝っているもようだ。《RS》

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