3歳より前の記憶はいつ失われるのか

2014年2月3日 14:45

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記事提供元:スラド

あるAnonymous Coward 曰く、 3歳より前の記憶まで遡れる人は少ないと言われているが、この3歳前の記憶というのはほぼ7歳あたりで思い出せなくなることが明らかになった(ScienceDaily)。

 この研究では大人に子供の頃の記憶を辿らせるのではなく子供の自伝的記憶の形成およびその喪失の追跡を試みたとのことで、まず3歳児に最近あった出来事を話してもらい、それを5~9歳の時に再び思い出して話してもらうという追跡実験が行われた。

 会話は例えば誕生日パーティや動物園へ行ったことなど最近経験した出来事についてであり、保護者にそれについて日常の会話と同じように質問してもらったとのこと。その際会話の主導権を子供に持たせた場合の方が成長しても記憶がより鮮明に残ることが分かったという。これらの記憶を記録後、子供達を5つのグループに分けてそれぞれ5歳から9歳の間に1回だけこの出来事について再び尋ねたところ5~7歳の間はその出来事の63~72%を思い出すことが出来たが、8~9歳になると35%しか思い出せなくなっていたとのこと。また5~6歳は出来事を思い出せる確率は高かったもののその描写は不完全であったが、年齢が上がるに連れて思い出せる確率は減ったものの辿れる記憶に関してはより詳細な描写が可能であったという。このことから長く残る記憶はディテールが細かく、言語スキルの向上とともに記憶を詳細に説明できるようになり記憶が更に残っていくサイクルが生まれると考えられるという。

 乳幼児は記憶を利用して言語を習得したり自分の周りの世界を理解するようになるが、複雑な形で記憶を停めておく仕組みが発達していないことが近年分かってきたという。月日や曜日、また季節についての理解や出来事の地理的情報、また自己意識の確立や自分と他人の体験は違うことなどを理解した上で情報を一つにまとめるには強い神経プロセスが必要だが、これがまだ完成していないため複雑な自叙伝的記憶を形成するのが難しいと考えられるとのこと。

 記憶のシステムは水切りざるでパスタの水気を切るのに似ているという。記憶を米粒サイズのパスタに例えると、子供の水切りざるは網目が大きく多くが流れ出ていってしまう。大人はより細やかな網目のざるを使えるためパスタがきちんと残るということだ。

 「大人のざる」が形成されるのはいつなのかはまだ分かっていないが今回の実験の研究者らは9~18歳の間だと考えているとのことで、今後さらに追求していきたいとしている。

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