「遠くの大化け株」より1月期高配当利回り株で新年相場の勝ち癖にトライ=浅妻昭治

2014年1月14日 10:39

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

  「遠くの親類より近くの他人」という日本古来の処世訓がある。遠方にいて行き来のないなまじの血縁者より、日頃、近所付き合いで馴染みの他人の地縁者の方が、イザというときにはよっぽど頼りになるとする教えである。この教えを兜町流に言い換えると、「遠くの大化け株」より近くの実利株」という投資スタンスが浮上する。

  「遠くの大化け株」は先々、投資元本が何倍にも何十倍にも膨らんで返ってくるかもしれないが、それだけ大きなダウンリスクも覚悟しなくてはならない。一方、「近くの実利株」は、リターンが、今年1月から20%に引き上げられたキャピタルゲイン課税を差し引くとわずかにとどまる難点はあるものの、この薄利をコツコツ積み上げれば増税される消費税をカバーする程度の生活防衛対策くらいにはなってくれるメリットはある。要するに、時間軸を長期、中期、あるいは無限定とすることより、超目先と使い分けることによって変動リスクを最小化する投資スタンスである。

  新年相場は、もともと「一年の計は元旦」と満を持して期すこともあり、とくに今年は、NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたことも手伝って、どうしたってそれだけ肩に力が入って「遠くの大化け株」を狙いたくなるのが投資家心理というものである。しかしである。年明け早々の今年2014年相場が、米国株価がチャブつき、円安も一筋縄に進まないことも響いて、まだどのような相場になるか方向性も相場のテーマ性も不透明なまま期待よりややネガティブなことから、ここで無理して先行きを読み切った積りで時間軸を「遠く」に取るより、「近く」に置いて勝ち癖をつけつつ、「大化け株」に探りを入れる方が正しい投資スタンスとなる可能性がある。ということで、「近くの実利株」として投資照準を合わせてみたいのが、1月28日に権利付最終日を迎える1月期決算会社の配当取りである。

  もちろん「近くの実利株」といえども、ダウンサイドリスクが皆無などということはあり得ない。高配当利回り買いをした積りが、期末にかけて業績を下方修正されたり、肝心の配当を減配されたりしたら目を覆いたくなる結果になる。そこで1月期決算会社の配当権利取りの指標株としてあらかじめマークして様子をみて損がないのが、ミライアル <4238> である。

  ミライアルは、今1月期の年間配当を60円と予想している。しかし、1月期業績は、昨年8月に主要販売先の半導体関連業界の回復スピードが遅いとして下方修正され、昨年12月に開示された第3四半期決算も大幅減益転換して着地し、通期業績対比でも低利益進捗率にとどまった。株価は、12月10日に実施した自己株式立会外買付取引(買付価格1628円)や米国市場で半導体関連株が上昇していることをテコに100円幅の底上げをしているが、1月期配当については東洋経済会社四季報の最近号では、年間配当40円への減配の可能性も観測されているのである。年間配当が40円か60円か、あるいは半導体市況が回復に転じてくるのか、権利付最終日までギリギリ見極める株価動向によって、このほかの1月期決算会社の高配当利回り株に大きく影響することが間違いないのである。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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