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大手電子マネー各社が進める業務提携戦略
ここ数年の間に、小銭を持ち歩くことが少なくなった。その大きな要因として考えられるのが、カード決済が増えたことだ。富士キメラ総研が内閣府の「国民経済計算」をもとに推計したところによると、12年のカード決済サービスは47兆3,870億円。これは国民消費支出280兆5,202億円の17パーセントにあたる。さらに需要は拡大し、16年には22%を超える62兆6,992億円にまで達すると予測している。
とくに普及が目覚しいのが、ナナコやワオン、スイカなどの非接触型決済方式で展開される電子マネー市場だ。交通機関の利用をはじめ、スーパーやコンビニエンスストアでの購入の際、カードをかざすだけで決済できる便利なシステムは、今や多くの人が利用しており、とくに都心部では生活に欠かせないものになりつつある。
日経新聞が発表した調査データによると、発行枚数がもっとも多いのはスイカでの4217万枚、次いでワオンの3590万枚となっている。その他、ナナコ、パスモ、イコカなど、主要な電子マネーの13年度上期の総決済件数は17億2333万件。これは前年同期比22パーセント増の躍進となっている。また、決済総額は3兆円規模に達する見込みだ。
電子マネー各社は、ポイント付与や優待制度を活用したり、業務提携で利用拠点を増やし、顧客の囲い込みを進めている。例えば、ワオンを運営するイオン株式会社<8267>は、2007年からJAL <9201>と業務提携を行っているが、2013年10月、今度はJALとファミリーマート<8028>が業務提携を行うことを発表し、11月1日から、JALのマイルが2倍たまる「WAONマイル特約店」および「JALカード特約店」に加盟している。同時に、マイルからファミリーマート専用プリペイドカードへ交換できる「ファミリーマート特典」も開始した。つまり、ファミリーマートでワオン付きJMBカードや、JALカードを利用することで通常の2倍のマイルが溜まるのだ。
また、同じくナナコカードを運用するセブン&アイ・ホールディングス<3382>は11月に三井住友カード株式会社と業務提携し、第一弾として東京駅八重洲口の地下街、「東京駅一番街」の加盟店約100店舗でナナコ・カードを利用できるようになった。三井住友カードは日本のVISAカードのパイオニア的な存在で、40年以上に渡る「老舗」としての実績と経験で、全国的な販売網を形成している・
カード会社が提携を進めてくれるのは、サービスも充実し、洗練されていくから、消費者にとっては大変有り難いことだ。しかしながら、どれか一つのカードに選びきれず、結局、カードばかりが増えてしまうというジレンマに陥ることも多い。
一枚のカード、もしくはスマートフォンなど一台のモバイル機器で、その都度、最適なサービスを自動で選択して決済してくれるような、便利なプラットフォームはできないものだろうか。電子マネーを活用するために、財布の中からカードを何枚も出して探している光景は、どう見てもアナログに思えてしまうのだ。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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