損保大手3グループ、9月中間決算は共に増収

2013年11月21日 18:41

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記事提供元:エコノミックニュース

 19日、損害保険大手3グループ「東京海上ホールディングス」<8766>、「MS&ADホールディングス」<8725>、「NKSJホールディングス」<8630>は、2013年9月中間決算を発表。3グループ共に増収という結果となり、「東京海上ホールディングス」は増益、ほかの2グループに関しても赤字から黒字へと転じた。こうした増益に至った要因としては、前年から自然災害が減ったことによる保険金支払いの減少、そして株価上昇による保有資産の運用益の増加などが挙げられる。

 日本に接近、上陸をした台風の数は前年の半分程度と減少し、そのため自然災害による保険金支払額は合計577億円と、前年の1378億円から大幅減少となった。そして株価上昇により3グループの有価証券評価損は、前年同期の2620億円から109億円となり、急激に減少となった。

 中間最終利益は、「東京海上ホールディングス」が46.2%アップの914億円。そして「MS&ADホールディングス」は1095億円、「NKSJホールディングス」は291億円と、それぞれ前年同期の赤字から黒字へと転じる結果となった。また売上高にあたる正味収入保険料に関しては、3社すべてで増加となった。「東京海上ホールディングス」は、買収を行った海外子会社の収益が増加した影響が大きく、またアジアの生命保険事業の成長も寄与する結果となった。

 そして3グループ共に、消費税増税前の「住宅駆け込み需要」により火災保険の契約数が増加し、またそれぞれのグループの保険料収入の半分程度を占める自動車保険事業に関しては、好調な新車販売の影響を受けて自動車保険も増収となった。課題であった自動車保険の収支は、保険料の安い高齢者ドライバーの事故が増えたことにより収支は悪化しているものの、保険料の値上げなどによりそれぞれ黒字となった。また事故リスクの高い人ほど割高となる制度改定も改善の一助となったようだ。

 しかし収支が厳しい状況に変わりはなく、「東京海上ホールディングス」の藤田裕一常務は、「経費削減に努めるが、保険料の引き上げも選択肢の一つと思っている」と述べている。(編集担当:滝川幸平)

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