14年3月期業績はひとまず織り込んだ、期待の日経平均2万円は後退、次なるテーマは?=犬丸正寛の相場展望

2013年11月8日 16:31

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■次なるテーマは『JPX日経400』

  11月に入っての相場は、日経平均は月初1日以降、30日線を終値ベースでは一度も上回ることはなく、今週末(8日)には1万4020円台まで大きく下げた。9月中間決算が最盛期の週だったが、注目のトヨタ自動車が今3月期通期を増額修正したものの、事前予想の範囲内だったことから軟調な展開となるなど、主力銘柄の動きが総じて芳しくなかった。

  なぜ、予想に届かないと売られるのか。これは、売買の主役に関係が深い。東証1部の日々売買代金約2兆円のうち約6割が外国人投資家、約3割が個人、約1割が法人(金融機関、投信など)、という構成で主力の外国人投資家が動いていないことがある。さらに、もうひとつは、外国人投資家及び個人投資家のうちそれぞれ6割ていどが短期売買とみられていることが大きい要因としてある。

  短期筋は、「常に、期待で買うため、少しくらい期待値を上回ったくらいでは買い増しはしないで、利益確定売りを急ぐ」(中堅証券)ためだ。

  まさに、トヨタ自動車の場合は今期の1株利益を従来予想の467.0円から526.9円へ増額したが、マーケットの事前期待値520~552円の範囲内だったことから、短期筋の売りで週末の株価は10月9日以来の6200円割れとなった。

  日経平均ベースの予想1株利益でも期待されたほど伸びて来ない状況にある。事前予想では9月中間決算発表最盛期には、日経平均予想1株利益は980円、うまく行けば1000円の期待だった。それが、直近7日時点では、やっと924円という状況である。

  もちろん、悪い数字ではないが、短期売買中心のマーケットでは、期待値に届かないとなれば、外国人、個人の買いは入り難い。さらに、「短期ではなく中長期の外国人、個人の買いということでも、5月のシコリがあることや海外要因の不透明なことなどからこの水準では買いに慎重である。日経平均で1万3000円近くまで突っ込めば買いが入ってくるだろう」(同)ということだ。

  海外要因は確かに不透明だ。NYダウは新値を取ったものの、早くも反落と上値に対する持続力に欠けている心配がある。10月のときも新値をつけた直後に急反落した経緯がある。政府部門の一部閉鎖の影響でクリスマス商戦が懸念されているし、与野党対立も解決されたわけではなく先行き経済は快晴とは言えない。落ち着いていた中国上海総合指数も10月29日の下値のフシに近づいている。中国国内情勢の不穏な動きを合わせ見ると油断できない。ユーロについても金利を下げなくてはいけないほど実体経済に元気がない。

  日本の2014年3月期の日経平均1株利益がこのまま920円ていどで着地するとみれば、期待された新春相場での日経平均1万8000~2万円は難しくなってくる。もとろん、高水準の立派な数字だけに深押しはないだろう。来週は下値1万3748円、上値1万4400円ていどの展開とみられる。

  ただ、仮に、外国人投資家が買いに入ってくるとすれば、来年1月からスタートするROE(株主資本利益率)を基準に選定される新指数『JPX日経400』を想定した採用銘柄への手当て買いだろう。とくに、意外な銘柄が採用されるという読みなら、その銘柄は急伸の可能性はあるだろう。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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