【話題】なぜ、円高でも内需株は売られるのか?

2013年10月28日 09:24

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  前週の株式・為替市場はやや不安定な動きとなった。米国のデフォルト(債務不履行)回避で警戒感が後退して日経平均株価は10月23日に一時前日比86円03銭(0.59%)高の1万4799円28銭まで上昇し、9月27日に付けた1万4817円50銭に接近する場面があった。しかし直後に波乱の展開となって円高・株安というリスクオフの地合いに転じた。

  10月23日はドル・円相場が約1円上昇したことを嫌気して、日経平均株価は終値で前日比287円20銭(1.96%)安と急落した。そして10月25日はドル・円相場で一時1ドル=96円90銭台まで円が上昇し、日経平均株価は前日比398円22銭(2.75%)安と急落した。

  リスクオフに転じた要因としては、米国のテーパリング(量的緩和縮小)開始時期の先送り観測で円の先高感を強めていたことに加えて、中国の短期金利が上昇したことで金融引き締め観測が浮上したことがあるようだ。そして外国為替市場ではリスクオフのドル売り・円買いが進み、株式市場では株価指数先物の売りが主導する形で輸出関連を中心に売りが膨らんだとされている。

  ただし10月25日の東証1部業種別株価指数の騰落率を見ると、全33業種が下落して全面安となった中で下落率が2%を超えたのは食料品、パルプ・紙、化学、ゴム製品、鉄鋼、機械、その他製品、電気・ガス業、陸運業、海運業、倉庫・運輸関連業、情報・通信業、銀行業の13業種である。代表的な輸出関連セクターである電機、自動車、精密は2%以下にとどまっており、どちらかというと輸出関連セクターよりも内需関連セクターの下落が目立つ形だ。パルプ・紙や電気・ガス業は円高で原燃料コストが低下するため、円高メリット関連と言われることも多い。

  10月25日に限らず、為替の円高を理由にして日経平均株価が大幅に下落するような場面では、輸出関連を中心に売られたと解説されることが多いが、実は輸出関連セクターよりも内需関連セクターの下落率が高くなるケースが目立っている。こうした現象に関しては、円高で輸出関連企業の業績が悪化すると国内の景気が悪化し、国内の景気が悪化すると内需関連企業の業績悪化に繋がるという論理で説明することも可能だろう。

  ただし、株式市場の一般的な動きを、投資初心者に対して大雑把に説明する場合に「為替が円高方向に動くと、輸出採算が悪化するため電機、自動車、精密などの輸出関連銘柄が売られやすく、一方で内需関連銘柄はディフェンシブ的に買われやすい傾向がある」という銘柄特性を使うことがある。こうした通説的な銘柄特性はもはや使えないのだろうか?(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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