(インドネシア)FDI増加率がペースダウン、急がれるマクロ構造改革

2013年10月25日 12:28

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記事提供元:フィスコ


*12:28JST (インドネシア)FDI増加率がペースダウン、急がれるマクロ構造改革
インドネシア投資調整庁(BKPM)は23日、7-9月期(第3四半期)の海外直接投資(FDI)流入額の増加率が前年同期比22.9%となり、第2四半期の29.8%から失速したと発表しました。

依然として2ケタの強い増加率を示しており、海外からのインドネシア投資は旺盛とも言える数字です。ただ、足元では国際商品相場の低迷や消費者物価指数(CPI)上昇ペースの加速、財政と経常収支悪化という「双子の赤字」懸念が、インドネシア経済に対する“ばら色”感覚を後退させている印象を受けます。

同国は新興国の中でも「経常赤字グループ」に入り、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を示唆した際には通貨ルピアが売り叩かれたことは記憶に新しいでしょう。米国では政治混乱のおかげで量的緩和が来年1-3月期まで継続する見通しとなりましたが、いずれは緩和が縮小される時がきます。

向こう数カ月、インドネシアの経済指標は悪化が続く見込みですが、年率ベースではインフレ加速ペースに鈍化が見られるなど最悪期は過ぎたと見なす専門家も出てきています。

BKPMの統計を詳しく見ると、インドネシア製造業へのFDIが活況で、中でも電子セクターで投資が旺盛。また、商品相場への不安感にかかわらず、鉱業向けFDIは引き続き投資先ランキングでトップの地位を堅持しています。

この統計をみると、経済に薄日が差し込んできた印象も受けますが、米国が金融引き締めに入る前に構造改革を進めなければ、あらためて暗いトンネルに逆戻りしてしまう可能性には注意が必要です。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

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