【話題】地銀に再編機運の高まり、株価は?

2013年10月21日 12:21

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  東京に地盤を置く地銀の東京都民銀行 <8339> と八千代銀行 <8409> が、10月10日に経営統合の基本合意を正式発表したことで、しばらく沈静化していた地銀再編機運の高まりが注目されている。

  地銀は資金需要の減少や金利競争の激化などで、概ね収益力の低下傾向を強めているため、単独での生き残りが難しいとされ、『経営が行き詰まる前に統合に踏み切る必要性』を、従来から指摘されている。

  東京都民銀行と八千代銀行は、14年10月をメドに設立する共同持株会社の傘下に入る。経営統合が実現すればグループの預金量は約4兆4000億円となり、地銀業界20位程度の規模となる見通しだ。そして今回の経営統合が注目されているのは、経営に行き詰まった地銀の救済ではなく、両行の経営が安定しているうちに経営基盤を強化しようとする戦略的な動きという点だ。

  格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは10月17日付のリポートで、東京都民銀行と八千代銀行の経営統合は両行の信用力にポジティブとの見解を発表し、さらに他の地銀・第2地銀の信用力にもポジティブとの見方を示した。地銀・第2地銀の広範な統合が実現すれば、財務体質や収益性の向上が見込める点を評価したようだ。

  地銀・第2地銀は厳しい経営環境下に置かれているが、一方では地域経済の活性化、中小企業の支援、地域の成長分野への新規投融資など、メガバンクにはできない地域金融の役割が期待されている。このため経営統合による規模のメリットや経営の効率化だけでなく、中小企業を支援するための専門家の確保・育成も重要な経営課題となっている。

  金融庁は9月に公表した今事務年度(13年7月~14年6月)の監督・検査方針で、融資先の中小企業が健全かどうかの判断を銀行の自己査定に委ねて成長分野への新規融資を促すとともに、地域金融機関に対して5~10年後の経営戦略を明確にすることも求めている。こうした監督・検査方針も背景として、今回の両行の経営統合に触発される形で地銀の再編機運の高まりが期待されている。

  株式市場でも注目テーマとなりそうだ。地域的な補完性を考慮した経営統合に加えて、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> や、ほくほくフィナンシャルグループ <8377> のように、すでに経営統合した広域地銀グループへの合流というケースも増加しそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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